墜落した時に、上体がひっくり返って頭が下になることを防ぐためには、チェストハーネスの併用が有効です。そして、登っている最中にハーネスが緩んでいることに気が付いた場合も、それは有効ではないかと考えています。(シットハーネスが緩んだまま墜落すると、荷重がチェストハーネスに集中し、胸を強く締め付けて危険です。ただ、すっぽ抜けを防げるかも…という意味です。)
そこで、チェストハーネスの装着方法についても確認しておきましょう。当たり前ですが、チェストハーネスなのだからチェストに装着します。写真右のようでは、本来の機能を発揮できません(ギアラックとしてなら使えるかも…)。
次にロープの結び目の位置。写真右のように、普通に結んだのでは、ひっくり返ることを完全に防ぐことはできません。写真左は、ちょっと高すぎる気もしますが、慣れないうちは、登る前にぶら下がってみて確認してみることを勧めます。
チェストハーネスを着けない場合と同じ位置に結んでいると、チェストハーネスのタイプにもよりますが、ロープの引かれる方向によっては、頸部を締め付けて痛いだけでなく危険でもあります。
ついでに、トップロープでもチェストハーネスは使えます。直径6~7mm程度のナイロンコードを150cm程度用意します。シットハーネスのタイ・イン・ポイントに通し、末端の長さを少しずらしてオバーハンドノットを作ります(チェストハーネスの近く)。
長い方の末端をチェストハーネスに通し、短い末端と合わせてオバーハンドノットを作ります。シットハーネス側とチェストハーネス側両方に閉じた輪ができます。トップロープのカラビナは、その両方の輪に掛けて準備完了です。
実際にぶら下がってみましょう。重心が支点のほぼ真下に位置するので安定します。これなら両手が離せるので、ロワーダウンしなくても、緩んでしまったシットハーネスを締め直して、また登り続けることも可能です(完全に空中だと、けっこう力が必要なので、ロワーダウンしたほうが良いかも…)。