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神津牧場アパッチリードでひと皮剥けたか!?(’26前半まとめ)

有り難き哉、大師匠アイスクライミング・クリニックも3シーズン目に突入である。例年通り岩根山荘での合宿からスタートし、八ヶ岳山麓のゲレンデと西上州の神津牧場で練習を重ねて、漸く神津牧場の入門ルートを卒業できたよ…!

実はギブアップしようかとも思ったけど、何とか…

正月2週目の週末に訪れた岩根山荘のアイスツリーで久しぶりに振るアックスが全然キマらず暗澹とする私。そこに颯爽と現れたアニキ(参照→https://alpenblume.club/?p=29635)の、大師匠メソッドの生ける見本のような美しい登りと、的確かつ具体的なアドヴァイスが、今期私が進む道を照らしてくれた。理に適った登り方、理想的な登り方とは。

【前提】アックスを打ち込む瞬間は、肘を曲げずに腕を真っ直ぐ伸ばす。そうして届く範囲の一番高いところに打ち込むと、軌道がブレず、アックスの形状を活かせる(=氷に良く入る)。

【無駄のない、理想的な動作】上方にしっかりと決まった1本のアックスにぶら下がるように肘を完全に伸ばしたまま、その腕の対角にあたる足を高い位置まで上げる。もう片方の腕は下げて、レスト。

上方のアックスから真っ直ぐ伸びていた腕に力を込めて肘を曲げるのと同時に、高い位置に上げた前爪の先端に重心を乗せて立ち上がり、腰を入れて身体を伸ばす。

その勢いで、レストしていた腕を一気に頭上へ伸ばして高い位置にアックスを打ち込む。

場合によって理想的な動きが出来ないことも勿論あるが、無駄の無い登りをしないと力尽きてしまう氷の形状(氷柱やハング状など)もあるので習得は必須。

アイスツリーの垂直に近い面でひたすら練習した。そもそも昨年までの復習も必要なのに、新しい技術も試行錯誤…まぁ、気長にやるしかないね。

(2026年1月11〜12日実施)


翌週末は八ヶ岳山麓の某渓谷にて練習。自然の氷は今シーズン初めてなので、という理由をつけて一番易しいルートをリード。そこそこ順調に行ったのだが、最上部の氷が薄くてマゴついていたら、青木さんから「右に行け〜」と助言が…。またお世話になってしまいました。青木さんや他パーティとトップロープを貸し借りしつつ、引き続きムーヴの練習。

(2026年1月18日実施)


その次の週末、土曜は神津牧場へ。入門砦に荷物を置いて山ちゃんとインディアンサマー広場の偵察に行ってみたが、昨年登ったチェロキーの下半分が無くてビックリ。アパッチは下部が極薄、シャイアンは下半分氷なし。チェロキー経由でアパッチにトップロープを張ったと言う2人組に挨拶をして、入門砦に戻る。

入門砦は高さが無いが垂直の面があり、氷の形状も飛沫が凍ったような細かい構造や、ツルツルの氷柱状もあって、小さいなりに楽しめる。

(2026年1月24日実施)


翌日曜は、再び八ヶ岳東麓の渓谷へ。先週は氷の向こうが透けて見えるような感じがあったが、1週間で厚みが増したようである。朝イチは先週と同じところをリード。その後ビレイ中、左上腕にそこそこの落氷がヒットし、痛くてもう今日は終了かと思っていたのだけれど、左岸の垂直ルートにトップロープを張って下さった青木さんが「登りや〜」と励まして下さったので、奮起して垂直チャレンジ。上手くは登れなかったけど、大感謝です。

(2026年1月25日実施)


仕事や雪訓で1週空いたらもう2月である。2週目の週末、土曜は大師匠とマンツーマンで神津牧場へ。寒波が来ていて物凄く寒いが、誰もいないのはラッキー。インディアンサマー広場を見に行ってみると、2週間前にはベルグラだったアパッチ下部の氷が厚さを増しているではないですか。氷って、下りてくるんだね。

アパッチ 20m

リード可能なコンディションとは言え、なかなかの威圧感にビビっている私に「上部の右側は傾斜が緩いよ」と大師匠が助け舟を出して下さった。ま、頑張ってみるか〜…。貸し切りだし。

氷が下まで階段になっている右端から登り始めたが、アックスを打とうにも氷が薄い。大師匠からダメ出しをくらって、真ん中からやり直し。でも一歩目から氷柱状だなぁ…と眉間に皺を寄せていたらあら不思議、神の手が現れゼロピンが設置されたのだった。

気を取り直して再スタート。3mくらい登るとお休み処があるから、とりあえずそこまで行こう。今日は寒いのでBDのスクリューも良く入る。先端が岩に当たった様子なのでタイオフして、お休み処へ登り上がろうとするが意外に登りにくい。あれだ、落ち口と同じパターンで、アックスを奥に打ってしまうと女豹ポーズの如くになり足が見えないやつだ。そういう時は…

緩い面(=お休み処)にアックスを打ち、身体を上げる際にアックスを奥へ打ち直さずに。持つ場所をハンドルからシャフト中ほどへとずらして、アックスを上から押さえつけるようにして(手前に引くと外れて危険)。そうすれば何とか足が見えるので、慎重に登ればOK。

中盤は幅広の緩斜面なので気楽に、スクリューの間隔にだけ気を使って。傾斜がキツくなる終盤が核心。スケールとしては全体の三分の一くらいかな。比較的傾斜の緩い右側を登れば大丈夫!ってことで此処まで来たんだけどさぁ…

間近で見ると氷の構成が何というか、ソリッドでなく繊細なのよ。美しいけど隙間がいっぱい。アックスを打つ場所も縦に裂けないところを選ばなきゃだし、足下もアイゼンの爪先を押し付けたら崩れそうなのばっかり、スクリューも打たなきゃいけないのに。

助けを求めるようにビレイヤー大師匠に視線を向けると、ガッチリとビレイは勿論しつつ、しかしこちらを見ていなかった。分かります、かなり上方にいる全然動かないクライマーずっと見てたら首が痛くなりますよね。

かなり上の方にいるからね…

奥の岩壁に近い方の氷はソリッドなので、そちらに吸い寄せられつつジリジリと登る。でも最終的には表に出ていかなくてはいけないのだ。

まず、良い一手を探すことから。そしてアックステンションで心を落ち着かせてから、細かい氷をアックスで削ってスクリューを入れ、スタンスも細かい氷を蹴り落として。

やっとお出まし

一歩、一手に勇気を奮い起こしながら、何とか抜けることができた。続いて登り、下からは見えなかった氷の形状を確認した大師匠は、良く頑張ったねと褒めて下さった。

小さなツララの集合体みたいな形状の氷の登り方は、入門砦で昨シーズンに練習した(参照→https://alpenblume.club/?p=31460)ので方法は知っていたのだが、入門砦のような高さのないところでやるのと、それなりに高いところまで登った時点でやるのでは大違い。かなり勇気が必要だった。

それでもギブアップせずに抜けられたのは、これまでベルグラ、ミックス(真似事)、ツルツルの氷柱、今回のような細かい構成の氷など、ちょっと難しいコンディションの氷に散々トップロープでチャレンジしてきたことにより、対応力が上がってきていたからだろう。リードすることも、目的を絞って行うトップロープも、どちらも大事だ。

易しいルートを登るのがキライな大師匠の「今日の1本」がそのチャレンジになることが多いのだが、本日のセレクトはコレ。

ビレイをしながらなので、大師匠が絶妙なアイゼンワークで岩の僅かな凹凸を拾って登ってゆくところをスマホでは撮影できず残念。続いて登ってみた私は足がダメだった。大師匠と同じ所に置いたんだけど滑ってしまって。悔しい〜!

あとは、斜度が緩いため油断しがちだが実は危ない乗越と、

上部の傾斜のキツい面をトップロープで練習して、終了。

昨シーズンから4回目の神津牧場で、ついに看板ルートをリードできて(神の手出てきたけどね…)とても嬉しかった。大師匠、相変わらずの長閑リードにお付き合いいただき、本当にありがとうございました!まだ続くシーズン、今度はどんな登りが出来るかワクワクします。

(2026年2月7日実施)

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