今回はリングボルトとクイックドローの関係について…。
リード中のジュンコ先生、何やら悩んでいます。
ん、もしかして逆クリップ?しかも、よく見るとリングボルト。リングボルトの強度は、クライミングのプロテクションとして信頼できるものではありませんが、「何も無いよりまし」と、あれば使いたくなる心情は分かります(あくまで気休めですが…)。
最初は良かったんだけど(写真左)、ロープに引っ張られるとカラビナが反転し、ゲートが上を向いてしまいます(写真右)。リングボルトを利用する場合にも逆クリップという概念が存在するかどうか分かりませんが、ちょっと気持ちの良いものではありません。
最初のプロテクションであれば、ビレイヤーの立ち位置で戻すことはできますが(写真左)、もし反対側に引っ張られたとしても、やはりゲートは上を向きます(写真右)。リングボルトの場合、ボルトを正面に、直上するのが良いかもしれません(そもそもアブミを掛けるボルトなので納得です)。
それでは納得できないジュンコ先生、ゲートが上を向くならスパインは下を向くはず。ならば最初からゲートとスパインの向きを逆にセットすれば良いのでは…と考えました。ただし、リングボルトには下からすくって掛けるのが一般的です(写真左)。それはゲートが岩角に当たって開いてしまうのを防ぐために、岩と接するのはスパイン側にしたいためです(写真右)。
そこで、ボルト側のカラビナとロープ側のカラビナが逆を向いたクイックドローを作りました(写真右)。一般的には上下のカラビナが同じ方を向いています(写真左、ABスタンダード外岩デビュー2参照)。
上下のカラビナが逆向きのクイックドローをリングボルトに下からすくうように欠けると(写真左)、当たり前ですが、ボルト側のゲートは手前を向くのに対し、ロープ側のゲートは岩に向いてしまいます(写真右)。それでも大丈夫。
ロープ側のカラビナは、ロープに押し付けられたり(写真左)、引かれたりすると横を向くので(写真右)、ゲートが岩角に当たって開くことは考え難いです。しかも、思惑通り横に引かれるとゲートは下を向きます。ただし、問題が無いわけでもありません。プロテクションとして信用できないリングボルトのために、一般的ではない逆向きクイックドローを準備するのは不合理です。
そこで、昔ながらの「掛けたら、返す」を思い起こしましょう。
手数が増えるのでクイックとは言えませんが…、
逆向きクイックドローと同じ効果が得られます。
ただし、ロープを掛けた後で登る向きが変わると、ゲートがまた上を向いてしまいます。登る向きと反対側にゲートを向け、岩側から手前に抜けるようにロープを掛けましょう。
ブルマ2022年2月19日 00:43 /
まとめると、①リングボルトはヌンチャクを下からのすくい掛けで、なるべく直上する。②サイドを登るなら、上から掛けてひっくり返す。③その場合、壁に向いているゲートをひねって、登る向きと反対に向けてからロープを掛ける。…が良いかもしれません。