• 登山技術研究会アルペンブルーメ|東京都勤労者山岳連盟に加盟する山岳会|岩登り・沢登り・雪山登山が好きなアルパインクラブ|登山の基本技術を研究し指導者を育成する山の会|東京都練馬区を拠点に活動

北へ転進230km 桃洞沢

今年のSW(◯ターウォーズではないです念の為)は3連休が2回で2度美味しい筈が、2回とも台風によって山行中止を余儀なくされた。お楽しみを奪われてなるものかと1回目は南アルプスから米子沢へ転進。2泊3日から日帰りへと規模は大幅に縮小されたものの、どピーカンの大ナメ帯は爽快で大いに溜飲を下げた。2回目の3連休は、儚い望みに賭けて春川〜虎毛沢の入山口近くまでやってきたが予報は悪化し、2泊3日の中日に大雨が予想されるため入渓を断念。仮眠した道の駅で朝食をとりながら今後の方針を話し合う。明日の夕方から晴れて明後日は快晴との予報、どこか日帰り(またもや規模縮小だが致し方なし)で行けるところは…

既に秋田県まで来ている訳だから、桃洞沢行っちゃう?という案が出た。面白そうだから行ってみたいけど、3連休にわざわざ計画するにはライト過ぎる桃洞沢、今回みたいなパターンはむしろ行くチャンスだと。Y岸家では絶対思い付かない大転進案、M子先輩ありがとうございます!

地形図は電波とセブンイレブンがあれば手に入る。遡行の情報はT内先輩が「沢登り銘渓62選」をデータで持っていて(いつでも転進できるよう常に携帯しているそう。流石だ!)、やはりセブンイレブンでゲット。あとは森吉山へ移動するだけ。同じ県内だからと気楽に考えていたのだが、現在地は広い広い秋田県の最南端だったのだ…。距離にして230km以上。でもまぁ明日の夕方まで時間がタップリあるので移動開始。武家屋敷で有名な角館まで来て、これ以上進むと店がないエリアに突入して飢えそうだということで無料のキャンプ場を探し、スーパーで酒とツマミを買い込んでキャンプ。

夜中の3時、テントを叩く大雨の音で目が覚める。雨は少し収まった後、朝7時からまたザーザー降りっ放し。東屋があって助かった。森吉山まではまだ距離があるので、雨が止むのを待たずに出発。マタギの里・阿仁に入った辺りでやっとこさ青空が覗いた。そこから森吉山の北を回って奥森吉の青少年野外活動基地・親子キャンプ場へ。ロケーションも設備も素晴らしいキャンプ場でオススメです。

朝4時起きで軽い朝食をとり撤収。登山口である野生鳥獣センターへ移動し、いざ出発。

日の出前です

最初は登山道なので、速足で。赤水沢と桃洞沢の出合で入渓を試みたが、いきなり胸まで浸かりそうなので撤退。桃洞沢沿いの登山道を300mくらい進んで、良きところから入渓。

6:45 入渓

いきなりナメナメ!

オレンジ色の沢床に苔の緑がアクセント。

ヒタヒタと歩いてゆくと、

コレが有名な…

出ました、桃洞滝40m。水量は若干多めの様子。スラブ沢で水の引きが速いとは言え、前日の大雨の影響がまだ残っているようだ。

マタギステップのおかげで簡単に登れます
桃洞滝を横から。豪奢なレースのヴェールだ…

桃洞滝を越えてもナメは続く。

この支沢も魅力的ですね

10m滝も、マタギステップとトラロープで安全に登れる。

10m滝

落差のある滝だけではなく、ちょっとヘツリが怖いような場所にも必ずマタギステップが刻んであって、とてもありがたい。いつの時代からあるのだろう?

10m滝を過ぎて少し進み、桃洞沢の本流を右に分けて支流に入る。

本流にも行ってみたいね

まだまだナメ。

漸く谷の中に陽射しが届き始めたのに水は却って冷たくなってきたような気がして、訝しみつつ進んでゆくと…

!?

岩盤からこんこんと冷たい水が湧き出ていた。同様の湧水は複数あった。他の沢でこのような湧水を見たことが無いので、非常に不思議に感じた。

標高785mの二俣を右に入ると、沢はグッと細くなる。どんどん先へ行くと、高低差が無くなってきて水流が止まっているような場所があって、なんだかアマゾンを探検しているみたいな気分になった(男性陣は、川口浩探検隊だ〜と言っていた)。

密林を抜けて(嘘です)コルまで登り上がり、

踏み跡を辿って降りてゆくと沢に下降するためのトラロープがあって、ここでもまた安心安全。

下降開始〜

こちら側もやはりナメ沢でヒタヒタと下れる。前回の米子沢で初めて履いたラバーソール靴を今回も履いているので、今までなら怖くて降りられないような傾斜も何とか降りられる。先輩方はメチャクチャ足が速いので、フェルト靴にしなくて本当に良かったと思った。フェルト一筋ウン十年の山ちゃんもラバーの滑らなさに驚いていた。(多分買うと思う。)

高速道路だ〜とか言いながら降りてゆくと突然沢幅が広い所に出た。右から赤水沢の本流が合わさる。

どの沢もナメでヒタれそう
赤水沢を下降

こーんな滝や、

こーんな滝も、

絶妙な場所に刻まれたマタギステップのおかげでロープ無しで下れてしまう。

1つ前の写真の滝を下から。右側にマタギステップが見える
この滝は、フェルト底の山ちゃんだけロープ使用

そろそろ、ロープが必要な大きな段差が出てきそうだ。

先輩方が覗き込んでいるのは…
この滝。上部で一度ロープを出した。

多段滝に続いて、兎滝40m。2回に分けて懸垂。

1回目
2回目
全景。兎に見えます…?
滝の下にある変わった岩

この後は難所なし。天気も良くてご機嫌である。何せ2日間降られましたから。

大スラブは僅かに秋色
スラブの隙間から湧水

結局ほぼ全行程ナメだった。最後の最後だけ砂が堆積した川を少し歩いて、11時半前に赤水沢と桃洞沢の出合に戻ってきた。

祝・周回完了!
桃洞沢を眺める。もう一周するか?

登山道を駆け足で(私が走らないと追いつかなかっただけだが)野生鳥獣センターへ、正午ちょっと前に到着。足洗い場があったので順番に泥を落として荷物を整理して、地元の方に教えていただいた温泉へGO!

杣温泉

ずーっと着っ放しだった山の服を脱いで温泉に浸かってスッキリした〜!

お世話になりました

お二人には、予報が悪いのに中止せず秋田までお付き合いいただいて、2日間雨に遭わせてしまい申し訳なかったです。せめて最終日に晴天の下、桃洞沢の奇景美渓を楽しめて本当に良かった…ホッとしました。支度も歩くのもメチャクチャ速くて、とても勉強になりました。お付き合いいただき、ありがとうございました!

(あ…まだ帰りの運転660kmが残っているのだった…)

コメント一覧

yo-ko2022年9月29日 07:05 / 返信

さすがに東北まで行くと景色も一変して、深い森とナメ、ナメ、ナメでいいなぁ。 雨にたたられて散々な夏だったけど、こんな美渓で遊べたのはよかったですね。

happyhappa2022年9月29日 07:08 / 返信

私もラバーソールが欲しくなりました。

    2022年10月2日 20:00 / 返信

    食わず嫌いしてきたラバー靴。私には力量オーバーの黄連谷の計画があったので焦って買ったのだけれど、履いてみてビックリしました。ヌメリにはメチャ弱いので、奥秩父なんかはダメですけどね。今はなきアクアステルスが出始めた頃、初めて履いた人のセリフ「オラ、忍者だ〜」に今更ながら共感してしまいました。

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