日和田山の岩場にように、広いテラスから懸垂下降する場合は、テラスの端から下の様子を確認してからロープを投げます(別に投げなくても良いけど…)。そんな時に必要なのが仮固定。
仮固定は、とっさの場合にも慌てないように、他のギアを何も使わない方法を覚えるのが良いのですが、これまで試してきた方法では、片手でのロックが心もとない気がします(特に8ミリ以下の細いロープ)。
片手でのミュールノットにも熟練が必要です。
そこで、別にカラビナを使用するオーソドックスな方法も覚えておきましょう。
用意するのはカラビナ1枚。何でも良いけど、大きさには気を付けて下さい。ATC専用のカラビナより小さくないと、ロープを上手くロックできません。その差は大きいほど良いです(その意味でも、ATC専用のカラビナは、普段から大きめを使うようにしてください)。
使い方は簡単。ビレイループに掛けて(ATC専用カラビナの下)、ブレーキストランドを通しておくだけです(最初からこのセットでも普通に懸垂下降できますが、途中でセットする場合には、ちょっとしたコツがいるので、慌てないように練習しておきましょう)。
停止したい場所に来たら、カラビナのすぐ下の制動手(左右どちらでもよい良い)を、ロープは張ったまま(弧を描くように)上に折り返します(折り返す手は、ATCから離れ過ぎないようにしてください)。折り返した分(180度分)制動力が増すので、ロープを軽く握っているだけで楽に停止できます。
次にロードストランド(ATCのすぐ上)にミュールノットを巻き付けて仮固定とします。
まず制動手の手首を屈曲(内側に曲げる)させつつ、内転させます(小指側に曲げる)。親指が下を向き、握ったロープの末端側が小指の腹に引っかかっているはずです。
制動手と反対の手(写真は撮影の都合で他人の手を借りています)でロープの末端側をロードストランドの下から持ち上げると、制動手側にループができます。
末端側のロープをバイトにして、ロードストランドの上からループに通します(制動手の親指の付根から指先の向き)。写真は撮影の都合で左手だけですが、両手を使ってください。
結び目を固く絞ればミュールノット(写真は緩い)。
この後、ミュールノットが、ロープの自重で解けないように止め結び(オーバーハンドノットまたはクローブヒッチ)を施せば完成ですが、少々煩雑なので、矢印の位置にカラビナで固定するだけで良いと思います。もし、余分なカラビナが無ければ、ビレイループに付け足したカラビナに掛けても良いでしょう。
仮固定の解除も気が抜けません。下の写真左のようにロードストランドを握っているだけでは、いきなり滑り出してしまいます。カラビナを使わなかったとき同様に、片手でロープをロックし(カラビナで折り返しているので楽)、もう一方の手でミュールノットを解きましょう。
下の写真左の状態で、片手でのロックは必要なくなります。両手で(写真は撮影の都合で片手)ブレーキストランド掴んで(付け足したカラビナの近く)、ロープを張ったまま(弧を描くように)、ゆっくりと戻してください。
いかがでしょう。みなさんも試してみて下さい。
ブルマ2023年5月13日 19:24 /
カラビナを使わない方法を練習したい方は2022年5月のアーカイブから「4/23日和田山の岩場(おまけ)」を見てね。