トップロープ支点のバックアップと、スリングの長さ調節について考えてみました。
まずは、普段通りにトップロープをセットしてもらいました。
おっと、いきなり、このセルフビレイはヒヤリハットものです(少なくとも3つの意味で間違っています)。
別の機会に、セルフビレイと、実践的トップロープのセット方法について考えてみたいです。
さて、本題です。
2か所の信頼できるアンカーポイントを流動分散で連結し、さらにカラビナ2枚でスリングを足してマスターポイントの位置を下げています。この場合、(あまり考えられませんが)青と黒どちらかのスリングが切れたらアウトです。
そこで、RCCボルトから白いスリングを垂らしてバックアップとしています。ただし、アンカーポイントがRCCボルトでは、バックアップの意味がないとも思えます。
そこで、同じルートの中間支点を一つ利用してセットしたのが上の例です。これならスリング、カラビナともに多重性を持ちながら、信頼できるアンカーポイントは3ヵ所となります。
ただし、リードクライマーがいる場合、中間支点を占有するのはマナーに反するので、混んでいる岩場では現実的ではないかもしれません。
そこで、男岩限定ですが、後ろのラッペルステーションを利用してみました(ラッペルリングを空けておけば、そんなに迷惑にはならないと思います。
日和田の場合、ロープの切れ端(補助ロープ)を10mほど用意して、クローブヒッチで長さを調節し、8ノ字結びで固定します。スリング、カラビナともに多重性を持ちながら、信頼できるアンカーポイントは、合わせて4か所となります(少々過剰といえるかも…)。
程よい長さの補助ロープが無い場合、スリングを連結することになりますが、カラビナ2枚で連結するのが原則です(ゲートの向きは変える)。カラビナが足りない場合は、強度の低下を理解したうえで、スリング同士を連結します。
スリング同士の連結方法は、本結び(リーフベント)が一般的ですが、緩んで崩れるとカウヒッチになってしまうので気を付けて下さい。
そのうえ、他の方法で長さ調節を行う必要があります(2重3重にしてみる、長さの異なるスリングやヌンチャクを用意する…等)。
強度低下を恐れずに、どうせ結び目を作るならシートベントをお勧めします(他にも用途が多いので優先して覚えておくべき結び方)。ただし、末端のスッポ抜け対策は必須です。
シートベントはスリング1本の末端同士を結ぶことで、単体でも長さ調整可能です(2重になるので強度は増すかも…)。
写真はシートベントで末端同士を結んだスリング(2重なので、元の長さの半分以下の範囲でなら調節可能)。
他にも単体で調節可能なパーセルプルージック。調節は容易だが、大きな荷重が加わった場合、伸びてしまわないか不安。
シートベントとは逆に、元の長さの半分以下にはならない。
これも単体で調節可能なボーラインオンアバイト(ダブルボーラインではない)。長さ調節に多少のコツがいるが、信用できる。
これも、シートベントとは逆に、元の長さの半分以下にはならない。
パーセルプルージック(左)にはアラミド(ケプラー)コードが向いている(テープスリングは不向き)。
ボーラインオンアバイト(右)はテープスリングでも可。
と、いうことで、私のトップロープセット。
加えて、アラミドコード(5m)を結んでスリングにしたもの(アルパインの支点工作等、他にも用途は多い)。
そして9ミリ×10mの補助ロープ。
よろしければ試してみて下さい(自己責任ですが…)。