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4/11 広沢寺の岩場(その4)

広沢寺の次は、つづら岩で懸垂下降の練習が待ち構えているジュンコ先生。ここでエコバック方式の手順を確認しておきます。まずはリードがラペルポイントについたところから…。とりあえず環付きのヌンチャクを掛けます。

ダブルロープの片方をクローブヒッチで止めてセルフビレイ(リードを交代しながら、さらに攀る場合とチョット違います)。

もう一つのボルトとクアッドで連結し、3つの環付きカラビナがきちんと閉まっていることを確認したら「ビレイ解除」のコール。

ダブルロープのもう片方(写真の赤)をクワッドのマスターポイントに(だいぶ緩めに)バックアップ。ついでにATCガイドをガイドモードでセット

セルフビレイ(黄色ロープ)の長さをビレイしやすいように調整(次の写真と、その次の写真を参照)しロープアップ。バックアップとして弛ませた(赤)ロープにまとめます。

ATCガイドにロープをセットし(テンションする方向に引いてロックすることを確認)、3つの環付きカラビナがしっかり閉まっていることを確認したら「登ってください」のコール。

フォローがラペルポイントに着き、PASでクアッドのマスターポイントにセルフビレイをセットしたことを確認したら、ビレイの手を放し、自分のPASでバックアップ(赤ロープ)と同じようにセルフビレイ(束ねたロープをPASに移す)。

ここでロープのセルフビレイ(クローブヒッチ)を解除するのはまだ早い(ロープを落としてしまう致命的なリスクを避ける)。

まず、自分のハーネスからロープを(両方)ほどいて、片方をラペルリングに通してから2本を結束します。

同時に、フォローもロープを(両方)解き、2本まとめて(場合によっては1本づつでも良い)結び(すっぽ抜け防止)ATCガイドから外したら、他の適当な場所に(落とさないように)掛けておきます(ATCガイドはリードが回収)。

ここまで済んでからロープのクローブヒッチを解きます。

だいぶスッキリしました。

やっと本番、エコバック(シュパット)登場。口が広がるように工夫して、フォーロー側の末端から詰め込んでいきます。

ロープの詰まったエコバックをギアスリングに掛けて懸垂下降の準備。最初に下降する者はバックアップもセットすることを勧めます。ロープは最初に全てエコバックに詰めておくのではなく、風や障害物を考慮しながら、可能な限り垂らしておきます(この時点では、まだPASでセルフビレイ)。

懸垂下降のロープを手繰って、ATCのセットが正しいことを確認し(片手で)PASのセルフビレイを外します(もう一方の手は懸垂下降のロープ制動したまま放さない)。クアッドシステムはフォロー(最後に降りる人)が回収します。

外したパスは再度取り出しやすい場所に掛けておきます(ロープ回収時に引く方のロープに掛けておく等、決めておくことを勧めます)。

一応、バックアップの効き具合も確認しておきましょう。

垂らしておいたロープが残り少なくなったら確実に止まって、片手で引き出します(もう片方の手はしっかり制動したまま)。

どうしても両手が使いたい場合は、バックアップのプルージックの下にスリップノットで結びこぶを作っておきます。スリップノットは解けやすいので、プルージックヒッチをくっつけておくと少しは安心(それでも心配な場合はカラビナをスリップノットのループに掛けておきます)。※注意:下の写真はスリップノットを作った後なので制動手(この場合左手)がロープから離れていますが、スリップノットを作るときにも、どちらか片方の手で必ず制動したまま、もう片方の手で作ります。

引き出したロープが末端まできたら、そのまま落とすかどうか、また状況判断です(下に人がいて落とせない場合等は、ギアスリングの余ったヌンチャク等に掛けたまま下降します)。

スリップノットは解く向きがあることを理解しておきましょう。

正しく結ばれていれば、片手で引くだけで解けます(くどいですが、もう片方の手はロープを制動したまま放さない)。

以上、一例として紹介しましたが、懸垂下降は致命的な事故が多いだけに、ただ出来るというだけでなく、その場にあった様々な方法に熟練することが大事です。外の岩場に行ったらロワーダウンだけでなく、必ず1回以上は懸垂下降の練習も取り入れましょう。

コメント一覧

マタギを目指して修行中2021年4月20日 12:08 / 返信

詳しい解説ありがとうございます。複雑で頭の中で整理できるかは怪しいですが、家で練習してみます。まずはロープがこんがらがらないように…

sek2021年4月20日 14:06 / 返信

解説ありがとうございます。黄色のロープを環付ヌンチャクに結んでいるのはなぜなんでしょうか? 最後にロープを解きやすいからでしょうか?

    ブルマ2021年4月21日 05:22 / 返信

    sekさん、その通りです。セルフビレイのクローブヒッチを解くときに、アンカーポイントのゲートを開けたくないというのが理由です。マルチ(3人登り等)でリードが交代しない場合も同じです。ではなぜ最初からマスターポイントにセルフビレイをセットしないのか?なぜセルフビレイのバックアップに最初からPASを使わないのか?は、また後程(皆さんも一緒に考えてみましょう)。

マタギを目指して修行中2021年4月23日 18:41 / 返信

環つきのクイックドローをかけてグローブヒッチでセルフを取った後に、またクアッドシステムをセットするために大元の環を開けるのが、私はいろいろ下手なので、怖い感じがします。

    ブルマ2021年4月26日 06:47 / 返信

    ご指摘の状況では、まだフォロアーにビレイされているのですが、ランニングビレイと同等のリスクがあるといえるかもしれません。もし、そのリスクを受け入れられない状況であるとすれば、手数は増えますが、とりあえずPASを先にラペルリングに掛けてしまうのが安心かもしれません。それから落ち着いてクアッドシステムをセットし、メインロープでセルフビレイを取り直してから「ビレイ解除」のコールという手順が良いかもしれません。ただし、いつもラペルステーションがあるとは限りません。時にはハーケンに残置スリングだけかもしれません(それも無いかも…)。なんでもいいから、まずPASを掛ければ安心と考えるのは危険です。いかに素早く強固なビレイポイントを構築するかといったところに注力した練習に励みましょう。

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