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1/30 霧積(おまけ)

 ピッケルとアイゼンは氷の世界で使うものという信念から、たとえ縦走用と言われるタイプでも氷を登れるはず…と試してみます。アイスクライミングの参考になるかも…。

氷に突き刺すためのピックは反り返っている。

 ピックの先から付け根までの線を引いてみると、縦走用は緩く湾曲しているのに対し、クライミング用は直線的か、逆に反り返っています。縦走用のピックは氷を削ってステップを刻むのに対し、クライミング用は氷にピックを突き刺すことに特化しているからです。それは逆に、氷を削って制動する滑落停止には不向きとも言えます。

縦走用は氷を砕いてできた凹みに引っ掛ける。

 ピックの先端だけをみると、その角度は同じです。ただ、クライミング用は鋭く尖っているのに対し、縦走用は厚く丈夫です。縦走用は氷を砕いてできた凹みに引っ掛ける使い方が出来そうです。

ストレートタイプは、膨らんだ氷の奥に刺せない(てこの働きで抜けてしまう)。

次にシャフトを見てみると、ストレートタイプとベントタイプがあります。

どちらを選ぶかは好み?

 ベントタイプは、多少膨らんだ氷でも、シャフトが氷に当たらないので抜けにくいです。逆にスパイクを雪面に突き刺すような使い方は、うまく力が伝わらず不向きとも言えます。

ショルダータイプはスイングのじゃま。

 落下防止のためのピッケルバンドですが、ショルダータイプはスイングのじゃまになるので、リストタイプにしましょう。

様々なピッケルバンド(リストタイプ)。

 ピッケルバンドは落下防止の他に、握力のセーブという働きもあります(リードする場合は、また別)。自作でも良いですが、長さ調節に気を付けましょう(手袋をはめて、小指がスパイクに触るくらい)。

壁から離れ過ぎている悪い例。

 それではスイング。写真は、ピッケルを持つ手が氷から離れ過ぎている悪い例です。この角度ではピックが刺さりません。

縦走用ピッケルは、ただ振り下ろしても刺さらない。

写真左は氷を削っているだけ(縦走用ピッケル本来の使い方)。氷に突き刺すには角度が大事(写真右)。

手首のスナップで打ち込み、肘を下げて荷重。

 ピッケルは脇を締めて肘を軸にスイングします(肩から大きく振りかぶると目標が定まりにくい)。そして、ピッケルを持つ手が氷に当たる直前で止めてスナップを効かせます。それでもクライミング用の様にしっかりとは刺さりにくいので(引っかかっているだけ)、肘を下げて氷に着け、手首を伸ばしてシャフトと一直線になるように荷重すると安定します。

ヘッドがぶれて、上手く刺さらない場合は?

 ヘッドの軽いアックスや、握力の弱い人は、氷に当たった衝撃でヘッドがぶれてしまい、上手く刺さらないことがあります。

インパクトの瞬間だけ、強くギュッと握りしめる。

 スナップを効かせるために、ピッケルは軽く握り、小指を軸に手首を返します。インパクトの瞬間に強くギュッと握り閉めるとブレにくいです。

踵を下げないと刺さらない。

 アイゼンも縦走用だと蹴り方にコツがいります。ボールを蹴るように爪先を下げてしまうと、フロントポイントが氷に届きません。たとえ届いたとしても(写真のアイゼンはフロントポイントが前に移動するように調整できる)、ピッケルと同じく下に向かって湾曲しているため刺さりません。写真右の様に、フロントポイントが氷と直角になるように踵を下げて蹴りこみます。

蹴り砕いてできた凹みにフロントポイントをのせます。

 実際には、蹴りこんでできた凹みにフロントポイントをのせる感じです(アイゼンでの岩トレで練習しましたよね)。

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