よりによってお盆休みの週末に台風が本州をかすめる予報。一抹の不安はあるが、比較的北に位置する魚野川には然程の影響はないかも知れない。エスケーププランを当初よりも増やしてから予定通りに行動開始。
東館山ゴンドラ駐車場で今回ご一緒するS木さん、I上さんと合流。今シーズンは切明温泉からの水平道が通行止めなので、遠回りだが入山は野反湖からとなる。濃霧の中を野反湖キャンプ場を目指して移動、手前の駐車場で仮眠。
4時に起床。まだ雨は降っていない。ここ最近も降っていないので増水はないだろう。台風と前線の影響で降るとしたらピークは今日の夕方か。幕場で落ち着いてからと願いたいところ。白砂山登山口には臨時の登山指導所が設けられており、前日に6パーティ入っていると聞かされ驚いた。取り敢えず出発。
途中、トラヴァース道になる辺りは笹がうるさく歩きにくかったが、概ね良い道。イタドリ沢から先で3パーティと擦れ違った。今日は台風最接近の日なので、早々に帰るようだ。
渋沢まで降りてくると見覚えのあるピンクテープを発見。しかし、前回使ったトラロープが見当たらなかったので懸垂で入渓した(トラロープは後に発見、少し上流側にありました)。
最初の幕営適地、及び野反湖へのエスケープルートである高沢出合に着いた。
まだ時間に余裕があるので幕営予定地の黒沢出合へ向かう。
この滝を岩魚が登っていた(登ろうとしていたと言うべきか)のを前回、初めて見て驚嘆した記憶がある。
雨が本降りになる前に今夜のお宿の看板、ナマリ岩が見えてきてひと安心。
すぐそばに丁度良いサイズの平地があるのだが、イマイチ高台でないので他に適地がないか探して歩き回る。
前回は人が多くて上流寄りに幕を張ったのだけれど、その場所は崩落で埋まっていた。
結局、一番快適そうなナマリ岩脇の砂地で幕とする。今日は貸し切り。釣りは、魚がいじめられているので私の出る幕なし。山ちゃんが珍しく時間をかけて釣ってきた。
砂塗れになるのには閉口するが、寝心地は良かったので夜に一雨あったのにも気付かず。目が覚めてツェルトから這い出すと、S木さんがもう焚火をつけてくれていた。増水もなく安堵する。
2日目のメインイベントは、4つの幅広滝シリーズ。楽しみだなぁ。
前回はTナさんが左の岩を登ってくれた淵に到着。ルートを見ていると、S木さんが「泳いで良いですか?」出だしはクロールで、勢いよく進んで行った。
後続はロープで楽々。泳がなくて済んだ山ちゃんが嬉しそうだったこと。
陽が射してきたので、日向ぼっこしつつ大休止。
少し身体が暖まったところで再び歩き出す。淡いブルーで透明度の高い水の色が美しく、幾度も感嘆の息が漏れる。本流から切り離されて池のようになっているところには、増水時に流れ込んだであろう何匹もの岩魚が悠々と泳いでいた。暫くすると、お待ちかねの幅広滝「カギトリゼン」。
前回は手前から高巻いたが、今回は左壁を登ることに。俺が行きます、と頼もしいS木さん。
ヌメっていて滑り易くて、いや〜リードできるのは凄い!
滝の上は滑床になっている。
続いて「イワスゴゼン」。
右壁を登れるが滑り易い。草付きを山ちゃんが登って、ロープを出してくれた。
滝上の滑床の奥には、陽光を反射して輝く「スリバチゼン」が見えている。
山ちゃんに、どうせ落ちるから最後尾にロープ付けておっ放しとこうと言われたので、意地でヘツったわよ…
最後の幅広滝は「ヘリトリゼン」。
釜はまるでプールみたい。
前半のハイライトである4つの幅広ゼンを過ぎても、まだまだ美しい魚野川。
やがて左に2つ目のエスケープルートである小ゼン沢を分ける。本流は燕(ツバクロ)ゼン。
出合を過ぎると穏やかな川となる。
3つ目のエスケープルートである庄九郎沢を右に分けて、
名もなき淵や滝を越えてゆくと、
庄九郎大滝10mが現れる。
アグレッシヴな人はシャワーで左を登るらしいが、私等は大人しい人間なので巻く。
上の写真を撮った場所の真後ろにあるルンゼを登って、笹の斜面を懸垂で降りる。ここは小さく巻こうとすると痛い目に遭うらしいので、ルンゼを上まで登り切るのが正解ルート。
この後は「ゴウトウ」と名の付いた巨岩帯になるので、大休止して腹拵えをしてから出発。
とうとう来たか、と思いながら巨岩帯に突入してみると、どこから乗り越そうかアスレチックみたいで意外に楽しかった。
前回は確認し損ねた小平沢の出合も確認。出合から直ぐの左岸に幕場があったが、明日の行程を考えてもう少し先へ。前回と同じ幕場に16時頃到着。
お魚当番を命じられたので、ツェルトを張り終えたら幕場のそばの落ち込みにまず一投。奥地に来ているからか、ヘボ釣り師でもまずまずの良型を1尾。針を外すのに盛大に時間を浪費した後、すぐ上の広い釜に移動するが釣れず。餌を変えてもダメ。このままでは帰れないので、片手に竿を握りしめてヌメった釜の縁をヘツって更に上流へ。ここで小ぶりの1尾をゲット。半泣きになりながら針を外したところで、魚を入れる網が広い釜に置きっ放しであることに気付く。仕方なく道具をその場に残して、片手に魚を握りしめて必死のヘツり。無事に魚を網に収めて、道具を取りに3度目のヘツり、ここで両手フリーなのに何故かドボン。夕闇の中、防寒着を着たままで…。丁度、どうせ釣れないだろうと思ってか師匠が助っ人に現れたので、後を任せてガタガタ震えながら幕場に戻った。
身体を暖めようと焚火の傍へゆくと、デッカい鉄のフライパンが熱せられていた。柄は枝を嵌める仕様で便利。コレで炙ったソーセージは美味かった!2日目のお肉はソーセージが便利だよね〜なんて思っていると、味付けされたカシラ肉が登場。えっ、これ背負ってくれていたのか…!ありがたくいただいたところで、味付けされたスペアリブが登場。なぬっ、まだお肉があったとは…!美味しくいただいたら、次にモツ焼きが出てきた(もう私はお腹いっぱいで入らなかった)。いや〜。酒の四合瓶も出てきた。酒瓶は私も持ってくることあるけど、沢の2泊目に出したことはないです。これを背負うパワーに脱帽すると同時に、前日の自分の食担メニューが貧弱であったことを痛感してしまった。これが歳の差か…
因みにお魚当番という身分は2匹釣ったところで返上してしまったので、後の釣りは山ちゃん、捌くのはI上さんがやってくれました。所詮半端者よね(涙)
宴の後半から雨模様となり撤収したが、朝になると谷間に青空が見えて嬉しくなった。お肉(再び仰天するほど)たっぷりのカレーをいただいて出発。
幕場を出て30分ほどで巨岩帯は終わり。
南丿沢出合の幕場は、前回と同様に藪っぽくてイマイチな印象。北丿沢へ入る。
先頭のS木さんが何やら指差している。そこには小さな銀灰色の小さな生物が…!あっ、アレだ、名前はド忘れしたけど、渓流にいるモグラだ!
下山後に調べましたが「カワネズミ」という名前の生き物で、小っちゃな灰色の瓢箪にお鼻と尻尾が付いたような姿で、水に浮かぶ機械仕掛けの玩具のように泳ぐのが非常に愛らしかったです…!
北丿沢の本流を素直に詰めると前回のように根曲がり地獄に突入してしまうので、今回は途中で右の支沢に逸れる予定。
標高約1,790mの二俣まで来たら、本流にサヨナラして右へ。
前回よりかなり楽に登山道までの距離を稼げたが、それでも藪からは逃げられないのだ。
Y岸家は前回2時間くらっているので、どんなものだか知っている分精神的なダメージが少ない。魚野川の藪初体験のお二人は、遡行中どちらかと言うと寡黙であったのが、時折呻き声などが漏れ聴こえてきて、逞しい彼等でもビックリするんだなーと微笑ましくなってしまった。
今回は35分で登山道に出られた。先頭で漕いでくれたお二人に感謝!
しかし残念ながら、ゴンドラの営業終了時間には間に合いそうにない。急いで転んでも仕方ないので安全に。
前回は暗かったのでトボトボと道を歩いて下山したのだが、今回はスキー場の中級コースを下った。草藪だがヤナギランが見頃で美しかった。
途中、焚火の跡があってビックリ。魚野川から下山途中で日が暮れたとか…?
真面目に道を歩くより格段に早く東館山ゴンドラリフトの駐車場に着くことが出来た。コース決定してくれた若い二人に感謝!
皆さまのおかげで、魚野川を再び遡行することができました。ありがとうございました。
2度目でも色褪せない魚野川の美景。正に癒し渓、目の保養でした…
wakuwaku2022年8月24日 21:45 /
さすがに美渓、緑が豊かですね。 台風の影響もそれほどでもなく、釣りをしながらの沢旅~うらやましい限りです。