• 登山技術研究会アルペンブルーメ|東京都勤労者山岳連盟に加盟する山岳会|岩登り・沢登り・雪山登山が好きなアルパインクラブ|登山の基本技術を研究し指導者を育成する山の会|東京都練馬区を拠点に活動

8/19-21剱沢で暴風雨にあう

19日 山の師匠Aさんと三の窓雪渓から北方稜線に出る計画で室堂にやってきました。

初日は良く晴れていて帽子とサングラスで、紫外線対策もバッチリです。

絵葉書のような風景を楽しみながら、剣沢キャンプ場へ向かいます。

でも、途中の雷鳥沢から剣御前小屋までの登りがつらかったです。

荷物の持ちすぎでしょうか。

重荷を下して一息。おお、体が軽い。
テント泊ですよね?

Aさんは55リットルのザックに上手にパッキングしています。

対して私は60リットルのザックが膨らんでいます……。

日頃から軽量化を心掛けているAさんの秘訣を探るぞ。

秘訣その1 

装備の工夫。

私は登山靴を履いて10本爪アイゼンと岩稜用のアプローチシューズを持参。

Aさんはアプローチシューズを履き、アイゼンもごく軽いもの。でも、ちゃんと前爪がついています。

今回 私は飛び入り参加でしたが、Aさんは雪渓の登りに備えて事前に色々準備されていたことでしょう。45度の傾斜を登るためAさんが用意したアックスは柄の部分が肉薄でした。

秘訣その2

食事はシンプルメニュー。

例えば、Aさんが用意した共同食は、乾麺のうどんをゆで昆布醬油を回しかけ小口ネギを降りかけたもの。また、パスタバージョンでは しょっつるとカリカリジャコをかけもの。

対して、私はアルファ米にレトルト食品を持参。カレー、生姜焼き、サバの味噌煮を用意しました。

夏場なので痛むのが心配でレトルトにしたのですが、意外と荷が重くなりがちです。

秘訣その3。

「快適さを捨てて不便を受け容れる」のです。

図らずも、2日目に実行することになってしまいました。

20日は天気がくずれる予報。

そして剣沢の派出所の掲示板に真砂沢から先の雪渓は通れない事が書かれています。

そこで、三の窓雪渓は諦め行けるところまで行くことにしました。

サブプランの平蔵谷の様子を確かめる目的もあります。

午前中ならば天気も もちそうです。5時にキャンプ場を出ました。

源次郎の取り付きです。正面に踏み跡がありますね。
後ろの平蔵谷は登れそうですね
長次郎雪渓の下部は無残にも崩壊

真砂沢ロッジを過ぎると、とうとう迂回の標識がでていました。

もはや雪渓歩きもここまで
剣沢と三の沢の出合です

本日の行程は三の沢までとして、8時頃引き返すことにしました。

とりあえず記念写真をとりました。

当たり前ですが、雪渓の下は水が轟轟と流れています。

しかし快適だったのは、ここまででした。

予想より天気の崩れは早く9時頃からだんだん雲行きが怪しくなり、やがて雨が降り出してきました。

風も時折強く吹きます。ゴアのレインウエアも風を受け圧力がかかると雨が浸透してくるようで、着ているものが濡れてきました。

風がますます強くなり剱澤小屋手前では、ほっぺになにか細かいものがパラパラ当たるような感覚で痛みを感じました。

10時半ごろ。何も見えません。

途中小屋を覗いてみました。コロナで閉鎖中ですが、玄関は入ることはできスタッフの方はおられたので、万一の時は土間に居させてもらえそうです。(マスク着用!!)

キャンプ場にもどると派出所の入り口は閉まっていましたが、並びのドアは少し開いていました。

そのほか避難するとしたらコンクリートのトイレでしょうか。

幕営地点に戻ると、テントが風に煽られ傾いていました。20センチくらいの石垣のかたわらに張ったのですが、その石垣にひっかかるように傾いていました。あわてて頭からテントに入り、自分の重さでテントを押さえました。その間Aさんがペグを打ちなおしてくれました。

テントの端が石垣の乗る形になってしまったので、とりあえず体育すわりで並びテントをおさえつつビバークとなりました。

テントの中で暴風雨に耐える
テントの中は装備が散乱していました

Aさんは濡れたカッパを脱いでいましたが(その方が早く乾くそうです)、小心者の私はテントが壊れるのが不安でヘルメット、雨具、靴をつけたままでした。濡れた雨具のままでは寒いので、エマージェンシーシートとツエルトをかぶりました。

風に煽られると危険なので、手早くお茶を沸かして飲むと落着きました。

天気が荒れたせいか電波が届かないので、古い情報ですが時間的誤差を考え夜9時には天気が回復するのではないか、との予想をたてそれまでの辛抱とがんばることにしました。

Aさんは体温を保つため、夕食は2回とることを決めました。

テントは空気を通し雨は弾くはずですが、風圧がかかると雨はスプレー状になってテント下部側面から侵入してきました。Aさん側が低かったのでAさんが定期的に溜まった水をかきだしてくれました。そんな中でも時々眠気が襲い、うとうと寝ていました。

午後7時になると突然風がピタッとやみました。テントの外を見ると雨もやみ、電波も通じるようになりました。雨雲レーダーを見るとやはり危機は去ったようで、ほっとしました。

外に出てテントの位置を直し 体育座りから解放され、体を伸ばして休むことができるようになりました。

私は濡れた雨具のままダウンシュラフに入りましたが、温かく翌朝には水分はダウンに移り、着衣は乾いていました。(シュラフなしで頑張れるAさんは強い!)

どんな時でも朝はくる

さんざんな目に合いましたが、なぜかテンションだけは上がっていました。しかし、さらに活動するのは難しく下山を決めました。

濡れ物を乾かして朝9時にキャンプ場をでて室堂に戻りました。

さて、自宅に戻って装備のお手入れをしたのですが、テントのポールは曲がりフライは擦れて穴が開いていました。剱沢キャンプ場の天気が荒れるのはしばしばあることなのでしょうが、今さら風の強さを実感しました。

頑張ってくれた装備を干す

曲がってしまったポール。本来なら一直線です。
なにかに擦れてしまったのね。

無事に帰宅できたから良しとしたいのですが、最後に懺悔のお部屋にご招待があります。

コメント一覧

yo-ko2022年9月1日 09:23 / 返信

懺悔します。 持参したライターが電子式でした。初日は問題なく使えたのですが、天気が荒れたら(気圧が下がったから?)火がつかなくなりました。ガススト-ブに付属しているスターターも弱々しい火花が散るだけ。 Aさんがフリント式のガスライターを持っていたので助かりました。 懺悔します。 2日目。早朝に着ていたダウンを行動中にザックにしまいました。 そのまま仕舞ってしまい、雨に濡れて使い物になりませんでした。 日頃ダウン製品はビニール袋に入れることにしているのですが、ビニール袋を持っていたのにひと手間をさぼってしまいました。 「すべての事は細部に宿る」でした。

マタギを目指して修行中2022年9月6日 18:43 / 返信

大変な経験でした。40年前暴風雨で剣沢で張っていたテントが浸水、雷は横に走る。真夜中に小屋に避難したことを思い出しました。雷鳥沢ヒュッテから横殴りの雨を見つつ、会長のことを想っておりました。私が高校時代使っていたテントのポールは全く歪んでいませんでしたが、会長のは… 最近のポールは強いと運営委員長がおっしゃっていましたが、本当にそうなのか…軽量化した分歪みやすいということはないのでしょうか。 いずれにしても危険極まりないので私は悪天候の時は避難するか勇気ある撤退を選びたいと思います。 大変お疲れ様でした。

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