• 登山技術研究会アルペンブルーメ|東京都勤労者山岳連盟に加盟する山岳会|岩登り・沢登り・雪山登山が好きなアルパインクラブ|登山の基本技術を研究し指導者を育成する山の会|東京都練馬区を拠点に活動

リード怖い怖い病克服への道

アルパインマルチ行きたい!のだけど、リードは怖いんです。ビレイ得意だしロープワークも早いです、でもアルパインのオンサイトリードは怖すぎてちょっと…。私…、ジムでのリードは安全だから楽しくチャレンジ出来るんだけどね、外岩もゲレンデなら簡単なリードはやるんだよね、でもナチプロのオンサイトリードなんて、ほんと怖いから無理なんだよねぇ…、などと、うだうだウジウジ言っていた私に、Hちゃんは何回かLINEで長い長いメッセージをくれました。「コリンさん、私は、初めてパンツーでコリンさんをご紹介いただいた時のすごい頑張って登る人がいる。。という思い今も変わりません。コリンさんのクライミングスキルがあればどこも怖く無いはず。小川山左稜線リベンジの前に三つ峠とかで練習しましょう!慣れや経験は大きいです。きっと、来年の今頃は、そんな事があったねー、と、思い出に浸ってるはずです😆」 でも約束してた三つ峠も野猿返しも左稜線も御在所も二子山中央稜も…思い出作れないままHちゃんとは会えなくなってしまって、私も、クライミング、もういいかな…、みたいな気持ちになり始めていました。

そんな時、一度Hちゃんと一緒に城ヶ崎でご一緒させていただきお世話になったことがあるHちゃんの師匠のTSさんからお声がけいただき、「Hちゃんが「リードしたくないっていう人(=私のことです…)がいて困ったもんだ、意味が分からない…」ってボヤいてたから都合が合うなら一緒に練習しよう」と言ってくださいました。

そんなありがたいお誘いに、私の腐りかけていた気持ちに火がついて、はい、是非是非よろしくお願いします!と、その後何度かご一緒させていただきました。

師匠とご一緒させていただく度に、目から鱗の学びがあり、ガチガチに強張っている私の「クライミングは怖いから」という緊張がほぐれていって、より広い視野を持って、より自由自在に動き、その結果、より安全に登り、今まで以上にクライミングを楽しむことができるようになってきています。

今日は、私の強張りを解放してくれている学びをご紹介させていただきます。

10月18日 鷹取山でのロープワーク: 覚えた型が思い出せなかったり間違っりしたらどうしようと思うと怖いが、どんな時でも臨機応変に素早く安全な解決策を出せばいいと考えれば怖くない

ロープワークは何をどうするのか覚えてその通りにするのではなく、何のためにどうしたいのかを考えて、どんな場合でも安全に素早く解決策を出せるようにできるようにしておくことが大切。まずはスピード。ちょっとした時間の無駄もチリも積もれば山となって、日も暮れてくるし疲れにも繋がる。とはいえロープもマッシャーも美しく扱わないと絡まったり効かなかったりしてかえって時間がかかる。そして軽量化。重いと疲れるしガチャガチャして登りにくい。カラビナは安全環がついたものを多く持っていた方が安全なのかと思ってたくさんぶら下げていたが、環がついている分重いし操作も手間取る。本当に安全環が必要な箇所はどこか、よく理解して数を絞り使いこなせることが必要。ヌンチャクはアルパインヌンチャクなら分解してビナとしてもスリングとしても使えるので非常に汎用性高くて便利、5本は持ちたい。フリクションコードは、自分のロープと相性が良いものを持つこと。60センチ2本あれば、登り返しも出来るし、懸垂下降中にロープの結び目を越えることもできる。ちなみに、懸垂下降中に困った時にはいつでも仮固定を簡単に素早く出来るようになっていれば、懸垂下降をリードする時毎回必ずバックアップする必要もなく、長いマルチピッチでのチリも積もの時間セービングになる。

身軽に素早く安全にロープワークをこなせるようになっておくことで、クライミングに時間をかけることができ、丁寧に落ち着いて登る余裕も出てくることを実感しました。

11月4-5日、12月3日、9-10日 城ヶ崎 : 自分を怖がらせる怖いもの・コト1つ1つと向き合い、1つ1つ克服していくと怖くなくなってくる

私は何が怖いのか。師匠に聞かれ、不安と1つ1つ向き合い対処していく練習をさせてもらうことで、少しずつ不安がなくなっていったのです。

不安その1: 自分がセットするカムが信頼できない。= 心配だからとカムが外れないようしっかり入れすぎたら回収したい時にも外れなくなる(はじめての城ヶ崎でHちゃんからお借りした3番カムを30分ボコボコに叩いて救出してもらった経験あり)けど、だからといって軽〜く入れては決まらないし不安すぎる…!→ ならば 、カムのセットの仕方をもう一度ちゃんと理解して練習し直せばいいのだ。ということで、どのくらいの幅のクラックにどのサイズのカムが合うのか、カムはどのくらい閉じてどのくらい開き戻してくるのがちょうどよく「決まる」ということなのか。どの角度から入れると安定するのか、などなど、しっかり復習。色々なクラックにこれと思うサイズのカムをセットしてみてハマり具合を確認しながら、より大きいカムや小さいカムと入れ替えてみて、自分の感覚を養う。入れては外す、を繰り返すことで、外しやすいがしっかり決まるセッティングの深さや向きを体で覚える。

不安その2: さぁ、でも、そんな完璧なカムのセッティングをリードをしながらできる自信がない。→ ならば、トップロープで擬似リードをしながら、しっかりカムを入れていく練習をする。しっかりカムを入れるためには安定した足場が必要。出来るだけ両手を離せる場所では必ず両手を離して自分の安定感を確認する、という練習を繰り返す。

カムは決して適当に入れない。足場を固めてからどこにどのカムをどんな風に入れるのか見定めて正確に入れる。入れたいカムがすぐに見つかるように、どこにどのようにカムを持つかを決めておくことも重要。

不安その3: そもそも、カムで私のフォールを支えられるのか?「カム」などすぐに外れるのではないのか、しかも初心者の自分がセットするカムは絶対簡単に外れるに違いない…! → 自分で自信を持って入れたカムは外れないことを体感する練習。トップロープとリードロープの2本でビレイしてもらい、基本ビレイはリードロープでお願いし、トップロープはバックアップとしてのダルダル緩めにビレイしてもらう。カムをセッティングしながらリードしていき、リードロープをカムにかけた後、そのカムをプロテクションとしてテンションをかけてみる、ということを繰り返す。あれ、自分のカムでもテンションかけれるやん❣️という安心感を体に覚えさせる。その後、これまたトップロープでバックアップはとってもらいながら勇気を持って敢えてリードロープで落ちてみる。これもカムのプロテクションでしっかり止まることを確認し体に安心感を覚えさせる。

不安その4 : リードは疲れる、メンタルも消耗する…、特にオンサイトはルートもカムの差し方も予想通りにはいかないこともあるだろうから、パニックになりそう。途中で進退極まってしまって最後まで登りきれるか不安。→ 疲れたら・パニックになりそうな時は敢えて休むという練習。リード中疲れた時・迷った時・パニックになりそうな時に、がむしゃらに登ったり、不安定な状態で適当にカムを入れたりするくらいなら、しっかりテンションをかけて休んだ方がいい。丁寧に登り丁寧にプロテクションをとれるように、体も休め心も落ち着かせてからまた登り出せばいい。何度でもテンションかければいい。Aゼロだってしたらいい。と言われると、突然気持ちが楽になって、ビレイヤーにテンションお願いできるようになり(自分のカムを信じられるようにもなっていることも大きな支え)、テンションをかけないまでも、足場のいい所でじっくり時間をかけながらカムを選びカムをセッティングし次の手や足を考えながら深呼吸して休む、という癖がついてきました。

その結果、今回はついにナチプロでオンサイトリード、できました!ちょっと難しかったから1回テンションもらいました。けど、オンサイトリードでトップアウトしたんです。そしてなにより、全然怖くはなかったんです、楽しかったんです。

Hちゃん、少しずつ少しずつ、亀のようにゆっくりだけど、私、怖さを克服しているんだ。師匠と繋げてくれて、ありがとう。いっぱいいっぱい気遣ってくれて、本当にありがとう。私、頑張るよ。

コメント一覧

happyhappa2024年1月1日 17:01 / 返信

運の良さだけで切り抜けてきた私にとって、こりんの考察の深さに関心するばかり。 着実に力をつけていって素晴らしいです。

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