城ヶ崎でお世話になっている大師匠は、アイスクライミングも得意でいらっしゃる。高温続きで1月半ばになっても安定した氷は八ヶ岳にしかなさそうな今季、初心者同然のY岸家と同行するならば平日の夏沢鉱泉アイスギャラリーは最適解であろう。
月曜の朝、デカいザックを抱えて恐縮しながら立川まで。あずさに乗り込んでホッとした。快適な車内で酒も飲まず腹拵えに徹する。茅野駅で下車すると、改札で待っていて下さった大師匠に山ちゃんは初めましてのご挨拶。駅のロータリーから送迎車で夏沢鉱泉へ向かう。途中でチェーンを装着し雪の積もった山道を車止めのゲートまで。ここで乗客は降りるが、ザックはそのまま宿まで車で運んでもらえるので非常に有難い。除雪された車道を30分ほど歩く。谷間の道には風も吹かず、緩やかな登りで寒さをあまり感じない。
受付を済ませたら不要なものを部屋にデポ。アイスギャラリーは大師匠も初めてとのことで、玄関脇の案内板を一通り眺めてから、とりあえず出発。
G1〜G4まであるアイスギャラリーの氷瀑群のうち、大師匠のお仲間情報によるとG3、G4がお薦めであるがG4の方が難しいとのこと。
初心者向けのG3に行くことに決定。鳴岩川沿いに更に進み、取水タンクを横目に通り過ぎて、赤テープのある踏み跡を対岸の支沢へと辿る。アイゼンを着けずに来たのだが、支沢を詰めてゆくほどに傾斜が少しずつ増してゆくのでしばしば滑って時間と体力を浪費してしまった(山ちゃんは例外)。
(*注:何かが間違っていると思ったアイスギャラリー経験者の貴方。はい、間違ってます。ごめんなさい)
立派な氷瀑が見えて来た。先行パーティのリードがF1を登り切ったところのようだ。奥に見えている落差のないのがF2か。
F1の基部に荷物を置いて、しばし休憩。登攀準備と心の準備を整えて、大師匠がリード。
久しぶりのリードとのことで、疲れた〜と仰ってレストしながらの登攀は、全く危なげなく、氷も落とさず、ゆっくりと静かにその姿が落ち口の向こうへ消えて行った。
大師匠より一回り歳下の山ちゃんも、大幅に歳下の私も、未だこの氷瀑をリードする技術が身についていないので、ただただ大師匠に感謝するばかりであった。
トップロープをセットして降りてきた大師匠に「ちょっと登ってみて」と促されたY岸家、二人とも本当にちょっと登ったら「もう降りてきて良いよ~」。
★ここからクリニックです★ まずは初心に帰って、手も足もそれぞれ同じ高さに置く前提で。
・高い位置で左右のアックスを同じ高さに打ったら、両手はアックスにぶら下がるように伸ばしたまま、足の方へ視線を移す。
・次に足を上げる適所を見定めたら、腰を落としたまま、良く見ながら足を上げる。反対側の足も同様に、まだ腰を上げずに足を良く見ながら、適所へ上げる。高さは先に上げた足と同じくらいで。
・両足が安定したら、そこで初めて立ち込んで身体を上げる。膝を真っ直ぐ伸ばして、腰は氷に近付けて。上体を軽く反らせるようにして胸の前の空間を広くすると、より上方まで良く見渡せるので、なるべく高い位置にアックスを打つ。
この一連の流れ=基本の姿勢を何度かおさらいして身に付ける。
片足を決めた時点ですぐに身体を上げてしまうと、もう片方の足は良く見えない状態で場所を決めることになるので(傾斜が緩ければどんな姿勢でも見えるので関係ないが)滑ったら危険だ。両足とも前爪で立つつもりならば、両足とも良く見てスタンスを決める習慣をつけたい。
反復練習をしていたら、いつの間にか夕方になっていた。基礎の登り方から次のステップに進むのは明日ということにして、撤収にかからないと宿の夕食に間に合わなくなりそう。適材適所とは程遠いが私が行くことに。
アイゼンを着けたまま下ってゆくと、朝の印象と違って短い時間で道に出られた。ヘッデンにならず、良かった。
Day 2 へ続く…
(2024年1月15日実施)
happyhappa2024年1月31日 09:13 /
各地で氷の発育が悪い中、立派な氷瀑ですね!!