• 登山技術研究会アルペンブルーメ|東京都勤労者山岳連盟に加盟する山岳会|岩登り・沢登り・雪山登山が好きなアルパインクラブ|登山の基本技術を研究し指導者を育成する山の会|東京都練馬区を拠点に活動

峰の松目沢にて〜ルートアイスの心構え〜

赤岳山荘のあったかいお布団にくるまって迎えた3日目の朝。外を見ると細かな雪が降っている。昨日の夕方せっかく美濃戸口までサングラスを取りに行ったのに…?

山荘の美味しい朝食をモリモリ食べて、支度をし、Uさん達と別れて峰の松目沢へ向かう。天気図からの予想通り、歩いている内に少しずつ天候が回復してきた。

雪を読む力は、大師匠も山ちゃんにかなわない。

峰の松目沢の出合には、南沢沿いの道を快適にしてくれた6日前のドカ雪がたっぷり詰まっていた。助言を聞かずにさっさと沢に降りた大師匠と私が雪の中で藻掻いているのを、筋金入りの豪雪地育ちの山ちゃんは呆れ顔で眺めていた。

トレースを辿ってゆくと、見えてきたF1は殆ど雪に埋まっていた。天候は完全に回復しサングラス必須、防寒着は脱がないと暑いくらい。ルートアイスのための練習としてロープを出す。

フリーで行けるところだが、何しろザックを背負ってアイスクライミングをしたことがないので登るのが難しそうな時のシミュレーションを兼ねて。Y岸家定番のクソデカ・ザックを背負ってアイスアックスを振るうなど論外であると、二人とも実感できたのは良いことだ。(因みに山行前の段階から、行動時は20L台の小ぶりなザックにするよう大師匠に厳命されておりました。)

露出していた氷瀑上部は、この気温と日照で雪だか氷だかわからない位グサグサになっていた。恐る恐るアイゼンやアックスをキメて何とか終了点を作り、習慣として不要な分のロープを手元にまとめ上げようとすると…

「引き摺って行っても問題ない場所だから、無駄なことをして時間を浪費しないで!」と指示が飛んできた。

確かに、ロープを落とす可能性はない状態だし、沢登りのようにロープを流すと水中の障害物に絡まる危険性もないわけだもんなぁ。

★やっても問題ないが、やらなくても良いこと を見極めるのは意外に難しい。

★やらなくても良いこと が蓄積すると日が暮れる。

とは言えこの景色、撮らずにはいられない…

F1を抜けると直ぐに、陽光を受けて白く輝くF2が視界に入る。

ポカポカ陽気です

F1の状態からの想像通り、氷はかなり脆い。大師匠が慎重にリード。

降りてきた大師匠が仰るには、中〜上部の氷は状態が悪く、スクリューの先端を押し付けたら回さなくても入ってしまうような所もあったそうで、いやはや。危ないので、Y岸家は今日もトップロープでの練習となった。

真ん中へんを一通り登ったら、氷瀑の左端にアックスやアイゼンの痕がないツルリとした面があったので、チャレンジ。今までは自分で作らずともホールド・スタンスが豊富な所ばかりだったので、自分でホールド・スタンスを作って登る練習が出来るのはラッキーだ。アックスは頑張って打ち込むとして、さて、足の方は…?

★実践中にいただいたアドヴァイス★

爪先革命以来、前爪での立ち込みに自信を持ってしまった私。ツルっとした垂直の面にもチョイチョイと前爪で小さなスタンスを作って立ち込んでいたが…

・安全のためには、前爪をもっと氷に押し込む習慣を付けたい。もし荷物を背負っていたら、そんな浅いスタンスでは足が滑ってしまうかも知れない。チョイチョイと作った小さなスタンスを目がけて、少し勢いを付けて前爪をスタンスに押し込むようにする。

・勢いを付けるために蹴る動作を大きくする(=膝から下を後ろに振り上げて勢いを付ける)と、正確なコントロールは難しくなる。スタンスを良く見ていても、視界の外から勢いよく現れる足を、正確に的に当てるのは難しい。

・膝を支点にした振り子のような動きよりも、足の裏全体が直線的にスタンスへ向かうような動きの方が的を絞りやすい。

F2は一歩登る毎に氷が柔らかくなってゆくような状態で、上部にポッカリと空いた穴を覗いてみると、水の流れる岩肌と氷瀑との間隔が思いの外広く、下までズドーンと開いているのでゾッとした。こりゃー、怖くてリードできない。という訳で疑似リード。

特定のメーカーの新しいスクリューが、水っぽい氷に不向きなことが分かってビックリ。あまりにも入らないので諦めて、同じメーカーの古い物に変えたら大丈夫だった。覚えておくべきことが沢山あるなぁ。F2の上の景色を眺めたら、そろそろ夕方になってしまうので撤収。

大師匠、2週連続で今回は3日間も、ミッチリ教えていただき本当にありがとうございました。かなり疲れたけど、もっと練習したい!この勢いで来週も…行っちゃいましょうか…?!

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