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大師匠クリニック in 角木場〜ホンモノの氷柱の洗礼〜

1月半ばに始まったY岸家大師匠クリニックは、3月初めの土曜で10日目となった。八ヶ岳山荘の駐車場で大師匠と合流し、角木場の氷柱へ。数年振りに訪れるという大師匠と初めてのY岸家、氷柱へのアプローチにしばし彷徨う。

踏み跡はあるけどイマイチ良く分からんので、一度河原まで降りて氷柱の位置を確認してから、大師匠と私でトップロープをかけに行った。

私が最初に懸垂で降りてみたのだけれど、下ろしたロープが木の枝を挟んで右と左に泣き別れ〜♪ 空中懸垂の直前に仮固定してロープを1本引き上げるハメに。また一つ勉強になりました。

氷柱からロープがズレているので、結局大師匠が直している

今年の角木場の氷柱は、ネットで見た写真と全然違って痩せ細っている。残置支点の下の氷柱は例年は横に広がっているのだが、1本柱の状態だ。

氷柱の正面には登られた痕跡の凹凸が残っているが、少なくとも数日は誰も登っていないようで表面はスムーズになっている。朝イチでこれはキツイな…というのが正直なところだが、一番乗りの特権を味合わっちゃおう。

前回行った、河原奥の氷柱でちょっと自信を付けていたのだけれど、1本氷柱は足を開いて置くことが出来ないので難しい。氷の表面に穴が開いていないのでアックスも振らなくてはいけなくて、辛かった。途中でギブアップ、降りてきてからも暫く両腕が痛いくらい疲れてしまった。「足が伸びていなかったね」と大師匠。

★強傾斜のルートを登るとき★ 辛いので、楽に打てる近いところにアックスを打ってしまいがちだけど…

・上のアックスが近いと、腕で引き付けて上がれる距離が短い。足も少ししか上げられない。

・アックスが近いと、少し身体を上げただけですぐに肘が曲がってしまう。腕力を浪費する姿勢になりがち。効率良くレストも出来ない。

・アックスは軸足と肘を伸ばして出来る限り上に打つこと。肘が伸びていると、足を高く上げる空間を確保できる。疲れて、アックスにぶら下がるようにレストしても足が後退せずに済む。

腕のパンプが取れるまで登りはお休みにして、山ちゃんをビレイ。最初は尻込みしていた山ちゃんだったが、登ってみるとフィジカルの強さで私より上まで行った。降りてきたら、私と同様に休憩モードに。丁度その頃、合流予定だった電車組の2人が到着したので良かった。慣れていない私達には、1本氷柱はそう何度も登れる代物じゃない。

氷柱登りの合間に、氷柱の脇にある傷一つないツルツルの面でリードの練習。短いが上部は垂直に近くて、アックステンションしてスクリューを入れるのに緊張してモタモタ…

日頃、氷よりずっと手強いものをねじ伏せている(*アタシじゃなくてコンクリートとか)ので、スクリューを入れるのに左手だろうが何の苦労もない山ちゃん。職人だからアックスの精度も良いし、ネジ状の物を回し入れるのはお手の物。苦労している私を見かねて、アドヴァイスしてくれた。

★山ちゃんのスクリュークリニック★

・スクリューを入れようとする位置が、身体から横に離れ過ぎているからスクリューを押し付ける力が逃げてしまっている。もっと身体の近くで、身体の真正面に向けて押し付けるくらいの感じで。

・押し付ける力も弱いので、持ち方を工夫して手のひらでスクリューを氷に押し付けながら回す。最初は軸が多少ブレても気にしないで。

なるほど、少しコツが掴めてきたみたい。低いところの氷にいっぱい穴を開けて練習した。何しろ明日は、南沢大滝だから。

腕のパンプも取れたので氷柱登り再開。正面はだいぶ削れてしまったけど、氷柱の左側は誰も登っていないらしく凹凸なしのツルツル!

1本氷柱左側の出だし、被ったところは雨だれの中を登るみたいになる。アイゼンの爪先でチョイチョイと削って作ったスタンスに、爪先を押し込んでGo!アックスを打つにも幅が限られている上にツルツルなので、シビア。疲れるけど、とても面白い。

どうやら、氷柱登りの面白さに魅了されてしまったようだ。あと誰も登っていないのは氷柱の右側である。ほっそりとしたガラス細工のような氷柱にそっと爪をあてると、シャラシャラと音を立てて崩れていった。良いところを探して続行。

今まで通りに上部で氷柱が更に細くなる手前で止めようとすると、「上まで行ってみて〜」という大師匠の声(悪魔の囁き)が…

凹凸なしの90°ちょい超えの氷では、私がいくら頑張っても足が滑る。何度もテンションしながら長々とやらせてもらった。腕もとっくにパンプしていて辛いのだけど、面白過ぎて止められないのだ。

普通に登っても無理なので、どうやったらバランスが取れるか、方法を捻り出すのが楽しい。アックスを横向きに氷にかけたり、膝を氷にかけたり、対角では無理で左手左足にして、右足を左に振ってから右手を取りに行ってみたり…。

どうにかこうにか、氷柱の上端がすぐ上に見えるところまで登った。これ以上は体力が限界だし、氷柱もか細いので無理だろう、という理由を付けて下ろしてもらう。みんなからナイスファイトと言ってもらえたけど、「もう1歩登りたかったけど、難しかったね」と大師匠。

Mちゃん、Sくん、お付き合いいただきありがとうございました

合間にロープワーク講座も開かれていたみたい。

朝のうちは翌日のために余力を残しておこうと思っていたのに、大師匠の悪魔の囁きに乗せられて、最後の登りで振り絞ってしまったじゃないか。大丈夫かな?

…まっ、大丈夫でしょ〜〜!

(Day 2へ続く…)

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