• 登山技術研究会アルペンブルーメ|東京都勤労者山岳連盟に加盟する山岳会|岩登り・沢登り・雪山登山が好きなアルパインクラブ|登山の基本技術を研究し指導者を育成する山の会|東京都練馬区を拠点に活動

雨ニモマケズ野猿返しの筈が…

7月の三連休は悪天予報だったので、大師匠は半ば冗談のつもりで「雨の中でクライミング」という選択肢を示したとのことであった(他の選択肢は近場のインドアでレスキューと、ジムトレ)。私が前のめりで食いついて来たのは予想外だったそう。フッフッフッ、これでも沢屋の端くれ「小雨上等」なのですよ。

予報が悪いおかげで、土曜朝発でも渋滞に遭わずに川上村へ着いた。コンビニで行動食を買ってから、雨でも登れそうな野猿返しへ。雨中クライミングに備えて沢装束の私に対して、大師匠は極めてフツーの格好をしておられる。気合が空回りしている感が漂っているが、まぁ小雨は降ってるし良いか。渡渉も沢靴だから無問題。取付を目指して斜面の踏み跡を辿ってみるが見失ってしまった。これが「取付核心」ね…。結局、大師匠の導きにより取付に着いたのが11時過ぎ。

取付、11:05撮影。少し濡れている程度

1ピッチ目 直上する正規ルートではなく、易しいラインを選んで左上方向へ。ボルトがないが、クラックにカムが効くので安心。ひと登りして灌木に中間支点を取り、その上の岩壁を上まで登らずに途中からトラヴァースして平場に達し、ピッチを切った。トラヴァースの方が楽に見えたのと、登ってから降りてピッチを切るより流れが良いと思ったからだが、結局ロープが屈曲するのは変わらず。大師匠は「直登の方が登りやすいのに…」と不思議そうな顔で登って来られた。うん、相変わらずセンスないね私。

1ピッチ目終了点を設けた平場から1段下がって、少し歩くと2ピッチ目の出だしの壁が現れる。

正面は、いかにも滑りそう。11:38撮影(ゆっくりだな…)

湿っているし「春の戻り雪で本当に戻って来た人」には厳しいので、右側のカンテからスタート。正面に出る時がちょっと滑りそうで怖かったけど、後は大丈夫。念のためクラックにカムを1本入れた。

3ピッチ目 ゴツゴツ切り立っていてカッコいい感じ。

3ピッチ目を見上げる 11:53撮影

ボルトというものが全然見当たらないので、どこを登ろうが自由であるが、身の程を知っているので最弱点をゆく。

終了点のボルトも全然ないみたい。これまでは立木にスリングだったが、ここでは尖った岩にスリングを回してピッチを切った。

4ピッチ目は岩稜歩き。

ほぼ平行移動に見える。12:27撮影

空模様はと言えば、時折霧雨が降り出しては長続きせずに止んでしまう。それの繰り返し。わざわざ沢の格好で来たと言うのに…

本格的な雨中クライミングにならないのは残念だが、眺めは最高!歩きピッチとは言え右も左も切れ落ちているので、念のために灌木に中間支点を取った。

5ピッチ目と次のピッチがクライミングらしいピッチとのこと。登り出す前に良い写真が撮れたが、そもそもの目的だった雨中クライミングの雰囲気は微塵も無い。

あの予報のどこからこの青空が出てくるっつーのよ? 12:44撮影

上の方は難しそうだし、見えない向こう側はどうかな。でも大師匠に見守られているので、心配し過ぎずにスタート。

立木とクラックにプロテクションを取り、岩塔の右肩を目指す。どうやって登り上がろうかと少し迷ったが、どうにか。右肩でピッチを切ろうと思ったけれど、足下が切れ落ちていて何だか落ち着かなくて決心できず。奥に目をやると、良さそうな足場と背は低いがそれなりの太さのある灌木が見えた。

次のピッチには真っ直ぐ登って行ける位置だったから、まぁ良いか。

右肩を越えて灌木のところまでトラヴァースするのも、ちょっと緊張した。

6ピッチ目はのっけから傾斜が立っていて、少し怖かったので慎重に登った。

頑張れ、自分…

少し頑張れば抜けられる短い壁なので、大丈夫。とんがった岩にスリングをかけてピッチを切る。13時半頃だったかな。

7ピッチ目、再び岩稜歩き。というかこの先は、岩塔は複数あるけど全体として大した標高差がなさそう。

岩稜歩きだから退屈だったのか、雨が降らないので欲求不満だったのか。ロープが確実に重くなってきているのに、行けるところまでロープを引いていってみようと、何のメリットもないトライをしてしまった。案の定、立派な立木にスリングをセットしてロープを引き上げ始めて間もなく、ロープいっぱいなのか重くて引けないだけなのか分からなくなってしまった。遠くて声は届かないし、とりあえずビレイしとこう…

ロープが引っ張られない時間があまりにも長いので事情を察した大師匠が、渾身の大声でロープアップのコール。あちゃ〜。とってもお待たせしてしまったわ。ビレイを解除して必死でロープを引く。腕力が乏しいので、自業自得とは言え辛い。これで同じ失敗は避けるようになると思うけど…

・流れが悪くなるくらいなら、短くてもピッチを切ろう。今日はシングルロープだから尚更。縦でも横でも、ロープがある程度の急角度で屈曲したら注意。

・登りながらロープを力任せに引くぐらい重いなら、どうせフォローのビレイも安全に出来ない。そうなる前にピッチを切ろう。

・どこかで屈曲するかどうか、登り出す前に先まで見て想定しておかないと…。

反省しつつ振り返る 14:47 遅ーい!

反省しつつ8ピッチ目、もうロープはなくても良い簡単な斜面だけど一応引いてゆく。登り切ると小ぢんまりした広場になっており、その先の岩塔も見えているが標高差が殆どなく、あまりそそられないので此処で終了とする。

いくつもヘマこいて、やっとこさ終了(しかも一番奥をカットで…)した15時はしかし大師匠の予想通りなのであった。出来の悪い弟子で本当にすみません…。

1本短い懸垂をして、あとはタラタラ歩いて降りる。小雨はチラっと降ってきたけど、沢装束にしてきて正解だったぜ☆と言えるほどではない。

欲求不満を解消?

大師匠は一番浅い所を渡る(当然ですね)前に私を撮影していたようだ。正直なところ全身浸かりたいくらいだったけれど、大師匠の車に乗せていただくことを考えて遠慮しました。

(2024年7月14日実施)

コメント一覧

happyhappa2024年7月29日 21:35 / 返信

1ピッチ目 しっかりと濡れています! さすが沢やさん、躊躇ないですね。

    ちびのすけ2024年7月30日 09:51 / 返信

    ツルツルスラブだったら撤退ですよね。 雨予報だが小雨程度で済むならと思って、ツルツルではない野猿返しに来たのですけれど、後のピッチは乾いてしまいました。 本当に全体的に濡れてたら、登れたかどうか?自信はありません…

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