大概のジャンルで大して登れないのだけれど、それにしたってあのスラブの登れなさ(参照→https://alpenblume.club/?p=28754)には本人も大師匠も衝撃を受けた。頭の中はスラブ・スパルタ修行へまっしぐら。小川山2日目、午前中の予報は良いので今日こそガマスラブへGo!


三連休だというのに、悪天予報のおかげでガラ空きである。端から登り放題。岩はまだ部分的に濡れているが、爽やかな風とそこそこの気温で乾いてきそう。左右に幅広〜いガマスラブ、入門者向きの易しいルートがあるのは左側。一番左は濡れているので左から2番目のラインから。

クラック修行を始めて以来なんとなくTCプロ(クラック用シューズ)を常用してきたのだけれど、フットジャムが痛くないような堅牢さが足裏感覚が大事なスラブには不向きだと分かったので、今日は押入れに眠っていたアナサジモカシム(オールラウンドなシューズ)を履いてきた。
ロープを結び、大師匠にビレイしていただきスタート地点に立つ。1ピン目が少し遠いが、手がかりになりそうな凹凸もあるから簡単だということなのだろう。

「春の戻り雪で本当に戻ってきた人」の2大特徴は、
・怖いので、足を大胆に上げられず、少し上に置くだけ。
・怖いので、手に頼ろうとして上半身が壁に近付く。
どちらも、フリクションを効かせるために足裏をスラブに押し付ける力を下方向に逃がしてしまう。当然の結果として滑るわけだ。うん、理屈は分かるよ、理屈は。私にとっての障壁は、枕詞の「怖いので」。


スラブにまず一歩踏み込むまでが大変。今日履いている靴は靴底がクニャッと曲がるので、踵側は浮かせて母趾球から先をスラブにグッと押し付ける。
「もっと足を高いところに!」(えー、こんなに高くて踏み込めるか不安…)「怖いようだけど、高い方が重心を乗せられるよ」(理屈はそうだな、やってみるか…やっぱり怖くて無理!) 勇気が出ずに降りてきてはやり直し、3度目の正直くらいでやっとスタート。宥め賺す大師匠の方も大変である。
その後は一歩一歩、自分を説得しながら進む。上の方は斜度が緩み、少し気楽に進めた。どうにか終了点に到達、ビレイヤーは大師匠でなければ退屈のあまり気絶モノであろう。

降ろしてもらっている途中、隣を登ってくる男性が上手だから横から見てごらん、と大師匠。こちらより難しい右側のルートをヒョイヒョイと、散歩するかの如く軽快に登ってきた彼の膝が肘の辺りまで上がっているのが良く見えた。
なるほど、足は高く上げて。上半身は壁に被せず、腰を踏み込んで上体は立たせて。あれ、これってアイスクライミングの上達のコツでもあったな。よし、2本目。


下から、足だけで立てる筈!と声が飛ぶ。震えながら両手を離して、ヒラヒラ。初めて1輪車に乗った、よ…ウン十年前を思い出した。降りてきてロープを解こうとすると「解かなくて良いよ」。休まずに3本目、1ピン目は同じでその後右に行くルートへ。
3本目での課題は、登り始める前に壁を眺めて、少し先まで足の置き場を決めてからテンポ良く進むこと。いつもノンビリ登攀の私、一歩ずつその場で考えているからテンポが悪い(音楽家なのに…)。慣れないことなので、2歩か3歩だけ決めてみる。


まず一歩登ってみると下から見た感じと違っていたりして、そう思うようにスムーズには行かないが、僅かながら確実に以前よりもスピードが上がった。スラブでは一歩ずつ考えていては滑り落ちてしまうから、リズム良く登ることが大事。
だいぶ調子が出てきて、4本目(5.8、これまでの3本は5.7)。


自分としてはとても頑張って進んで、2ピン目を取って、そこからの一歩が出ない。どう自分を励ましても出ない。時間切れでA0して一歩上がったら、あとは大丈夫だった。降ろしてもらいながら観察してみると、ほんの少し他より斜度がきついだけだ。トップロープでチャレンジ。
スラブに、高く上げた足の母趾球辺りを押し付けて。「反対側の足を切って!」「き…切れません!」「反対側の足を一気に上げるんじゃなくて、トントントンって少しずつ上げてみて」「うぅ〜…トントントンってか…」トップロープなんだから、トライしてみなきゃ。「と…トントントン!」
上がれたのでビックリした。やり方なんだな。しかしリードで出来る気はしない。非常に疲れましたスパルタで。ひと区切りして、マガスラブへ移動。

ガマスラブの基部から踏み跡を登り、倒木で荒れた斜面をトラヴァースしてマガスラブへ。左の方の難しいルートを登っている人達の悲鳴や励ましを聞きながらお昼ご飯。
午後の1本目は「ウルトラセブン 5.7」。高いところに打たれた1ピン目へ向かうスラブが到底登れそうに見えないのだが5.7なのか…、身の丈に合わせて右のクラックからスラブを迂回。


出だしズルしたけど、上の方もけっこう怖かった。右に寄りすぎて行き詰まり、大師匠のアドヴァイスで少し降りてルート修正。スラブ登りじゃなくて、普通のクライミング。降りてくる時に、次に登る「かわいい女 5.8」の1ピン目にスリングをセットした。
2本目「かわいい女」の1ピン目も中々に遠い。先ほど念の為に垂らしておいたスリングは、使わずに済めばそれで良しってことでスタート。滑りそうだが細かいスタンスがあるので、頑張って乗り込む。何とか、お助けスリングを使わずに越えられた。



3本目は、「ウルトラセブン」の上部を右のクラック方面へ抜けて行く無名ルート。消失しているとされる「小川山ショートストーリー 5.9」の上部だけ登るような形ではないかと思われる。とても旧びた終了点があるので。

クラックの下部にカムを入れるつもりで行ったら、見た目と違って入るところが見つけられなくて、困った。仕方なく少し戻って、左にロープが屈曲するが手前のボルトにクリップして再トライ。


クラックの右側に身体を出して、レイバック気味に身体を上げるのにかなり勇気が要った。あぁ、本当に疲れた。
降りてロープを解く前に、「ウルトラセブン」出だしのスラブをトップロープ状態でトライ。絶対に滑りますわコレ、という感じの細かい凹凸に母趾を押し付けて、ソローリと重心を移して…かなり粘ったけど、結局落ちて終了。足先がヘトヘトだよ!
大師匠は1本も登らずひたすら指導とビレイ。本当にありがとうございます…!空いていて、マンツーマンで、曲がりなりにもほぼ全部リードでってかなりスパルタ。もうお腹いっぱい、雲行きも怪しいので撤収にかかる。

駐車場に着いた途端に雨が降ってきた。冗談のような本当のハナシです。

悪天予報が見事に外れ、充実したスラブ特訓が出来てとても嬉しい。慣れが必要だと思うので、もっともっと練習したいな。次は今日よりもう少し、自分の足裏を信じることが出来ると思う。大師匠、今回もありがとうございました…!
(2024年7月15日実施)