梅雨が明け、夏山シーズンがやってきた。仲間達は沢や高山へ。大師匠と私は、再びマンツーマンでちょっぴり地味なスラブ修行をしに小川山へ。天気が良く、先週ガラガラだった駐車場は満杯。ガマスラブも既に何組ものクライマー達で賑わっていた。
足慣らしで何本か登ってから移動しよう、と大師匠。一番左とその次はロープが掛かっている。3番目のルートは、ヌンチャクが掛けられているが空いているので、声をかけて登らせてもらう。ヌンチャクは上から自分のをかけて行こう。
「足慣らし」と銘打っておきながら初めの一歩がなかなか出ないのは恥ずかしいが、出ないものは仕方がない。5日前に登ったルートなのに、本当にこの足が滑らないのか信じることができなくて。大師匠は「え〜、何してるの」なんて仰るが、私にとってはそんなに簡単ではないのだ。


「バーンと大胆に足に乗り込まないと、いつまで経っても進めないよ。」ここでいつまでも悩んでいる訳には行かないのは、分かってる…。一番簡単そうなラインをなんとか見繕って、景気付けに「バーン!」と効果音も添えてスタート。一歩上がってみれば、後はなんとか。最初の勇気が出るまでに、とっても時間がかかったわけ。
2本目は1ピン目が同じで、その先は左へゆくルート。壁を良く見て、3歩先までの踏む場所の見当を付ける。一歩上がってみると、下から見ていた印象と違って足が置きやすくない!と困ることが多く、そんなにリズミカルに登っていくことは出来ない。それでも以前に比べればスピードが上がっているので、登攀時の習慣として身に付けたいと思う。
終了点を使わせて下さったパーティの方に、「怖いけどリードで頑張りましたね」と声をかけていただいて嬉しかった。大師匠は、「優しく厳しくです(笑)」と返しておられた。
ガマスラブは混んでいるので早めに切り上げて、踏み跡を辿ってガマルートの取付きへ。ガマスラブのトップからトラヴァースしてきた5人パーティと合流するような形になった。彼等はガマルートへ、私達はガマルートより左側(ガマルートの派生ルートではなく、もっと左側)のルートへ。下部は10aはありそうなツルツルスラブなのでカットして、2ピッチ目から始めるような感じ。


木陰の緩斜面を進んでゆくと現れる陽当たりの良い急なスラブには、正面から左上へ向かうボルトライン。左上のボルトには、なぜかピカピカの環付ビナが残置されていた。1本目は届いたのでクリップ。


その後、手も足も出なくなった。左側は何もない(*私にとっては)。右には窪みがあって、そこに乗るしか選択肢は無さそうなのだが、斜度が急だし凄いハイステップだし、そもそも窪みが浅い。
右足の先を浅い窪みに乗せて、左足を切って乗り込もうと四苦八苦。どうしても勇気が出なくて、一度ヌンチャクにセルフを取って休ませてもらう。大師匠が近くまで登って来て下さって、一緒にルートを探る。右足に乗り込めたとしてもその先、左へゆくボルトラインは難し過ぎ、私には無理だ。一方、もっと右側には大きな窪みが。それを使うためには結局、件の浅い窪みに乗らなければいけないのだけれど。手がかりは全くなく辛いシチュエーション。乏しい勇気をどうにか絞り出して左足を「トントントン!」


私にとっては奇跡的に乗れた浅い窪みを経由して、大きな窪みに手が届いたところで「こんなの年に一回しかできねえよ」とか叫んでや一息つく。終了点まではもうひと頑張りしなくてはいけないけど。

終了点のあるテラスの手前、見えているガバに届くための一歩にもやはり相当勇気が要った。自分としては本当にギリギリ。フォローで上がってきた大師匠が「思ったよりも難しかった、よく頑張ったなぁ」と褒めて下さった。スラブのグレードとしては、5.9はあるだろうとのこと。相変わらずのスパルタである…。
その後はガマルートに合流して登っていると、取付きで一緒だった5人パーティが降りてきた。彼等は隣で登っている私が心の声を全て大声セルフ実況する(*精神的にギリギリだとそうなる)のを否応なしに聴かされていたので、核心を越えた私を見ても笑いを堪えられない様子であった…。いやホント、うるさくて申し訳なかったです。



これで終わりかと思ったら、やっぱりタダでは基部まで降ろしてもらえないのが大師匠特訓なのであった。正規ガマルートの、皆さんツルツル滑っていたところをスポット練習。


やっぱり一回滑ったけど、慎重に足を置けば大丈夫かも?これで本当に今日のスパルタ特訓は、終わり。
基部で帰り支度をしていたら、沢の会の同期が2人顔を出したのでビックリした。公共の宿泊施設に泊まるという彼等とお喋りに花を咲かせながら駐車場まで同道。そして今朝買い込んだお肉と野菜、五一わいん(赤)が待つテントサイトへ…
〜Day 2に続く〜
(2024年7月20日実施)