• 登山技術研究会アルペンブルーメ|東京都勤労者山岳連盟に加盟する山岳会|岩登り・沢登り・雪山登山が好きなアルパインクラブ|登山の基本技術を研究し指導者を育成する山の会|東京都練馬区を拠点に活動

小川山 涸沢岩峰群2峰 広瀬オリジナルルート

今年の6月に初めて小川山を訪れた時から、廻り目平での朝はいつものんびり。7時頃に寝床から這い出して朝食の支度をして…という具合だったのが、今日は正午頃から雨の予報なので5時起きで支度。朝食はしっかり食べて、7時ちょっと過ぎに涸沢岩峰群へと出発。

先週の日曜に行ったフェニックスの大岩の少し手前まで林道歩き。右に逸れ、名前のとおりに涸れた沢を登ってゆくと「仏壇岩涸沢岩峰群分岐」の看板、そして左岸に上がる小道を示す矢印付きの「涸沢岩峰群入口」の看板がある(なんて親切なんだ)。石楠花林の中を縫うように付けられた小道を進んでゆくと、やがてガスの向こうに聳え立つ複数の岩峰が見えてきた。

涸沢岩峰群1峰。静かだった

のんびり歩いて丁度1時間で涸沢岩峰群1峰の基部に到着。ボルトが打たれた垂壁を見上げると、上部がクリーム色に輝いていて美しかった。誰もいない。ここから2峰へは数分の歩き。

崩壊跡の岩に腰掛けて2峰を見上げるアニキ

2峰・3峰間のルンゼには3峰上部から崩落した岩と倒木が堆積していて、取付近くにまで押し出されている。その岩陰にアプローチシューズや不要な荷物をデポし、支度を済ませて登攀開始。

1ピッチ目、出だしの壁からスラブに登り上がる前に#0.0をセット。スラブ左端のバンド状を進んで枯れた松の木にプロテクションを取ったら、スラブのど真ん中へと登り上がらなきゃ。スラブ上のフレークにカムを決めてからトライ。

スラブに右足を上げたは良いが、立ち込む自信が持てず逡巡。結局カムエイドで登り上がる。その後右へトラヴァースしてゆく前にフレークの上部にマイクロカムを決めたいところだが、#0.1でダメ。#0.0は…あれっ、無い!あぁ、出だしで使ってしまったんじゃないか。バランスも悪いし早く何とかしないと。右側には、このピッチ唯一のボルトが見えている。足より低い位置だから取りにくいし、ロープが屈曲するから使いたくなかったのだが、止むを得ず。

ヌンチャクをかけてホッとする。だが試練はこの後のトラヴァース。意地悪なのか親切なのか、下を見ると怖くなるようなところにダイクが連なっている。明確なスタンスなのだけれど、恐怖心を抑えなくてはいけなくて一苦労。なんとかトラヴァースして灌木にプロテクションを取ると、その後はメチャクチャに重くなってしまったロープを引き摺り上げながら終了点へ。このピッチはダブルロープ推奨かな。

後続パーティはというと、アニキは私がプルプルしていた各所で大師匠のカメラに余裕ポーズをキメながら登ってきたのだった。ロープの流れもスムーズ。何という差であろうか…

トラヴァース、下が切れ落ちてるの。怖いのよ

フォローのJ子さんはトラヴァースで苦労していた。5.8だけど、私とJ子さんにとっては痺れるピッチだった。

2ピッチ目は大師匠の勧めでオリジナルルートではなくダイレクトルートのクラックを登ることに。

#3サイズで私には少し扱いにくかった一歩だけ、カムエイド。後は乏しいジャミングテクで工夫して、なんとか登れて面白かった。クラック用のシューズを履いていないので爪先や踝が痛いのが玉に瑕。

3ピッチ目からは再びオリジナルルートをゆく。出だしの右トラヴァースに少し緊張感があるだけで後は易しいが、ロープが序盤で既にかなり屈曲しているので、複数の灌木と残置ハーケンで早めにピッチを切った。

4ピッチ目も易しい。大師匠とビレイを交代して小さな壁を登ると、風雨に晒されてボロい感じの3ピッチ目終了点が目に入る。それを横目に、小さな岩のリッジの左に回り込んで進むと最終ピッチのクラックがある岩壁に突き当たる。終了点は、倒れそうにない大きな枯れ木。

見上げると、雲もあるが青空が優勢で雨が降ってくる気配はない。昨日も今朝も予報が悪かったのでマルチをやめると言っていたパーティもいた(なので貸切である)し、私達も昨晩ガマルート辺りに変えた方が良いかと迷ったりもしたのだが…。帰り道には雨に遭うのを覚悟で思い切って来てみて、本当に良かった。

さて、最終の5ピッチ目。左側にダイレクトルートの方のクラック、こりゃー私には登れないや。チラっと眺めたらオリジナルルートへ。うん、私にはこのルートが丁度良さそう。

手前のボルダーと左壁のコーナークラックを直登するのは厳しいので、右側から回り込んでボルダーの上からスタート。立った壁なので緊張感があるが、右のフェースの凹凸が拾えるし、亀裂にはカムも決められる。右フェースに面して登っていき、最後に左に向きを変えてクラックの抜け口を越えてゆくところに少し勇気が要ったが、立体的なクライミングで面白かった。大師匠は、お助けカムを足したりして後続パーティのJ子さんをサポートしていた。

予報がハズレてくれたおかげで、2峰のてっぺんで景色を楽しみながらのんびりとランチタイムを愉しむことができた。

終了点からの眺め 12:00
3峰が低く見えている。涸沢岩峰群では2峰が一番高いのだ
小川山の山頂方面。山頂は、手前の岩峰に隠れていて見えない

下山は、大きな松の木を支点にして2峰と3峰の間のルンゼへ懸垂下降。ルンゼに降りたら、落石に気を付けながらロープ1本での懸垂下降を2回で取付に戻った。結局雨には降られず、充実した登攀ができて幸運だった。大師匠、アニキ、J子さん、今日もありがとうございました!


以下は備忘録として、個人的な反省点を。

<1ピッチ目>スラブでフットワークに上達を感じられなかったことと、アニキには見つけられたカムセット適所を見つけることが出来なかったこと。中々決まらなくて焦っている内に、1本カムを落としてしまったし。1本カムセットできていればロープの流れはもう少しマシだっただろうな。他の中間支点でも、焦り気味でロープの流れを考える余裕がなかった。自分にとって難しいルートの時こそ落ち着かないと危ないのだが、ジレンマだな。

<3ピッチ目>おやつを食べるためにアタックザックを下ろしていたのを忘れて、空身で軽やかに登り始めてしまった。

<5ピッチ目>コーナークラックの右フェースの亀裂に決めた#0.1が外れてしまったこと。マイクロカムの決め方が下手。

(2024年8月18日実施)

コメント一覧

アニキ2024年9月3日 15:42 / 返信

こんにちは。2週間にわたり楽しい時間をありがとうございました。また一緒に登って飲みましょう!

    ちびのすけ2024年9月4日 13:59 / 返信

    アニキ、充実したクライミングとブログへのコメントをありがとうございます!アドヴァイスいただいたジムでの練習をしています。次にご一緒できる時までに、少しでも上達したいです。

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