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スラブリード奮戦記(3)〜涸沢岩峰群トラヴァース

シルバーウィークの三連休(前半)、北アルプスの予定だったが好天が望めず、比較的予報の良い小川山へ転進。土曜朝発のスケジュールだったのを金曜夜発に変更して廻り目平に到着したのは深夜。翌朝8時に出発する計画だったのだが、目覚めたら7時40分だった。ヤベェ。S田氏よ、相すまぬ…。結局9時10分頃に出発。

晴天。先を行くS田氏と、大師匠

林道から、先月の広瀬オリジナルルートの帰りに使った小道に入る。風がなく、暑い。小川山の朝でこんなに暑いのでは、下界の暑さは如何ばかりか。しばらく歩くと落葉松林の向こうに岩場が見えてきた。これから登り始めようとするクライマーの姿も見える。あれが涸沢岩峰群トラヴァースの出だし、花豆スラブかな?

近くなってきた。クライマーの姿はもう見えない

9時50分、取付きに到着。荷物を降ろして登攀の準備をしていると、後続パーティも現れた。S田氏とジャンケンをして、勝った方がリードということに。グーで勝ってしまったので、朝イチ・スラブリード。

ところで大師匠は涸沢岩峰群トラヴァースは初めてである。これまでは、ご自身でリード経験のあるルートの中から私でも行けそうなルートを選んで案内して下さっていた。今回は登れるS田氏が同行して下さっての、初見ルート・トライなのである。この場でジャンケンを黙認しておられるということは、見た感じ私でも大丈夫だろうとの判断なのだろう…。そして後続パーティには、申し訳ないけど時間がかかると伝えておられた。

1ピッチ目、花豆スラブ下部

1ピッチ目、花豆スラブ下部「OFS」5.6。スラブの1歩目に踏み込む勇気がなかなか出ない私にとって微妙に高い1ピン目、S田氏が早々にプリクリ。初っ端から情けねえな。

今回は、これまでのスラブ修行で履いていたアナサジ・モカシムより爪先がシャープなオールラウンドシューズ、インスティンクト(中古品)でトライ。足裏ペター感がド平らソールのモカシムよりはちょっと弱いけど、ソール自体が柔らかいから押し付ければOKみたい。

このピッチの最後の方で少しだけ、立木の右側を行くのが自然なのにわざわざ左側の登りにくいルート取りをしたので、大師匠が「信じられん」とつぶやいているのが聞こえてしまった…。ウッ。

2ピッチ目、花豆スラブ上部

2ピッチ目、花豆スラブ上部「カイカイ」5.8。まず中央のクラックを直上、その後はトラヴァースして小岩塔の左肩を巻いてゆく。

序盤はクラックにプロテクションを取って進むが、ムーヴはクラックというよりスラブ。緊張感がある。良いホールドに導かれて左へ。そこから段差の乗っ越し、右側は段差が大きくて大変そうなので左側からトライするがイマイチ。下では大師匠とS田氏が談笑している。再び右側にルートを探る。高いところにホールドを見つけて解決。一段上がったらキノコ型小岩塔の左肩へトラヴァースしてゆくのだが、これが怖い。手は騙し騙し、足を恐る恐るクロスしたりしながらスタンスを拾ってゆく。肩の向こう側に立派な終了点が見えた時の安堵感と言ったら。

大師匠もS田氏もトラヴァース部分では少し苦労していたくらいだから、私には相当登り応えがあったこのピッチ。いや〜、疲れました。時間もかけてしまったな、仕方ないけど。ここで後続パーティはもっと右の別ルート(より難しい)へ行って、私達を追い越したと思う。

この後は、サッサとロープ畳めば良かったってくらいの歩き。最初はスラブもあり眺めも良かったけど、後は樹林の中の踏み跡を第一岩壁に突き当たるまで、10分ほど。

3ピッチ目、第一岩壁 5.8。どこがルートなのかまず偵察。岩壁の右方は木がボサボサ生えているので、左方のトラヴァースから入るのだろう。その先がどうなっているか見えないので、S田氏にリードを交代。スラブリード奮戦記は、ここで終了。

左トラヴァースしたら向きを変えて、広めのクラックを直上。クラックは楽しいが短く、直ぐに終了点に着いてしまう。このピッチが5.8あるとは思えない。そしてまた10分ほど、樹林帯の中の歩き。登りが短くてすぐ歩きになるのは、ちょっとカッタルイなぁ。

4ピッチ目、第二岩壁に到着

ノンビリお昼休憩をとってから4ピッチ目、第二岩壁 5.6。リードのS田氏は簡単そうに登って行ったが、3番手で行ってみるとハイステップがちょっとキツかった。面白いのはそのワンポイントだけで、後は階段状。

5分ほど歩くと次のピッチ、涸沢岩峰群4峰の取付きに突き当たる。結構ブッ立った壁で、上の方がどうなっているかも見えないので、リードはS田氏一択となる。右へ左へとルート探しの後、5ピッチ目(涸沢岩峰群4峰の1ピッチ目) 5.6 スタート。

登るほどに眺めが良くなり、目の保養。ピッチを切ったら少しだけ歩いて次のピッチの取付きへ移動。

6ピッチ目(涸沢岩峰群4峰の2ピッチ目)5.7 はクラック。S田氏は、右側の被ったコーナークラック 5.9 にチャレンジ。

見た目通りに厳しくて、私の2番カムを残置して敗退し左の5.7へ。あ〜、ロープも私の方だから私が回収しなきゃいけないじゃん…

右のクラックは私には登れっこ無い感じで、カムの回収だけで精一杯。左に移動して5.7のクラックを登るが、良いスタンスに足が届かず苦戦、無念のA0となった。眺めが良いのでヘソを曲げずに済んだけど。

最後は爽快なリッジを進んで涸沢岩峰群4峰のトップに到達。

唐突ながらここで懺悔を。錫杖岳から急遽の転進だったため、ルートがしっかり頭に入っていないまま登攀しておりました、ハイ。

予備知識が乏しい中登るのは冒険っぽくて楽しいが、いつの間にか現在位置の認識がズレており、正しくは4峰なのに3峰を登っていると勘違いしていた(記事は訂正して書いています)。向こうに見えてきた次の岩峰がどう見ても2峰ではないので(私と大師匠は先月に2峰の広瀬オリジナルルートを登ったので)、間違いに気付いたのだ。S田氏に告げると、ちょっとショックな様子であった。まぁまぁ順調にきていると思ったからノンビリ休憩などもしてしまったが、次が3峰なのか〜。時計を見ると15時を回っている。秋だし、やめよう。

今度、3峰のマルチピッチに行けば良いね。

懸垂で降りてから薄い踏み跡を下り気味にトラヴァースして行くと3峰。当該ルート取付きは真面目に探していないから良く分からないけど、なんかガレガレした感じだったな。2峰、1峰と基部を辿り、先月も通った道をテクテク歩いて下山。

林道をチンタラ歩いていると、前方に見覚えのある姿が。元々の予定で小川山に来ているTナさんにバッタリ!テントを張っている場所は離れていて、残念だったけど。荷物を降ろしたらナナーズに買い出しに行き、夜は焼肉♪

明日の予報はあまり良くないけど、午前中は持ちそうかなぁ。朝が来てから空模様と相談することにして、まずは飲むべし。

〜Day 2に続く〜

(2024年9月14日実施)

コメント一覧

happyhappa2024年9月17日 18:15 / 返信

早速のブログアップありがとうございます。 クライミングの腕前(脚前?)も上々で頼もしい限りです。 これからも、ガンバ。

    ちびのすけ2024年9月17日 19:08 / 返信

    ありがとうございます!なかなか上達できず打ちひしがれる時もありますが、やっぱりクライミングは楽しいですよね。

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