天高い青を見上げたいのに、雨に纏わりつかれてばかりの今秋。10月に入って最初の週末、土曜に榛名黒岩に出掛けた仲間達は雨で登れず、しかし代わりにロープワークをじっくりやって充実した様子。私は遅れて日曜の朝に足尾の銅親水公園の駐車場で合流。雨は上がっている。
おっ、晴れてきた!
内心、自分は晴れ女なのかも知れないなどと思いながらテクテク歩いてゆく。
橋を渡り、高みに屹立するジャンダルムの裾をふわりと取り巻く森の中へ。踏み跡を辿り登ってゆくほどに足下がガレてくる。
岩壁に突き当たったら左へ。今日登る「極左ルート」は左端にある入門ルート。森の中では気が付かなかったが、いつの間にか青空が雲に覆い隠されている。途中、懸垂で下りてくる辺りに不要な荷物をデポし、取付に着いた頃には霧雨が降ってきてしまった。あらら…
易しいルートを選んであったこともあり、全員士気は下がらず。先行パーティは私リード、続いてJ子さん、そして大師匠が前後に目を配る。後続パーティはMちゃんとF田氏のツルベ登攀。
1ピッチ目はホールド、スタンス豊富な壁からルンゼに入り、テラスへ。支点はカムと灌木。
2ピッチ目は、小壁を越えてテラスを右に移動。私は手前の半端なところでピッチを切ってしまった。ロープが重かったけど、我慢してもう少し奥まで行けば良かった。少し歩いて修正。
3ピッチ目は、「左ルート」「直上ルート」と同じ大スラブに走るクラックを登る。クラックは3本あり「左ルート」は左のクラックを登るのが正規ルートだそう。ちなみに極左ルートには決まりはない。3本の中で1番易しい右側の「直上ルート」のクラックを今日は登る。支点はボルトとカム、終了点はボルト。
晴れ間が覗いたので、この調子で雲が取れて青空にならないかな〜と期待したけど、残念ながらそうは行かず。
4ピッチ目は、出だしのちょっとしたコーナーの乗越しが悪い。濡れていれば尚更なので、大師匠が3番のカムを私の手の届かない高さにプリセットしてからスタート。
出だしはプリセットしていただいたカムでA0しなければ登れなかったが、後は易しい。オープンな壁の登攀はお天気イマイチでも気分は爽快!しかし滑らないように気を遣いながら。
最終の5ピッチ目は中間に小テラスのある2段構えのルート。前半のクラックを登ったら右に移動してフェースを登るのが正規ルートだが、今日は岩が濡れているので難しいという大師匠判断により、右ではなく左奥のコーナークラックを登ってジャンダルムのトップ(こぶし岩)へ向かう作戦。
2段構えの後半は写真がないのだが、私は左奥のコーナークラックよりも一本手前のコーナークラック(と言えばコーナークラックかな…とは大師匠談)に取り付いてしまった。奥のコーナーもチラリとは見たのだが、奥まっているのでロープが重くなりそうと思ったのもあって。ハーケンもあったしさ…(ハーケンにつられて変なルート取りをする失敗を何度かしているのに、反省が足りない)。
取り付いてはみたが、2歩目3歩目くらいのバランスが微妙に難しくて、ダメそうだったら降りて奥のコーナーに行くことにしてホールドを探る。左が切れていて少し怖いが、良いホールドを見つけて解決。登り上がるとケルンが迎えてくれた。
フォローで登る大師匠の「なんでこんな所を…」というコメントが聞こえるのも毎度のこと、ではイカンよな。でも危ないルート取りという程ではなく、ちょっと登り応えがあって楽しめたと思う。かなりの回数このルートを登っている大師匠が、このラインは初めて登ったと仰っていた。
ジャンダルムのトップに着いたら、トップロープで最終ピッチのフェースを練習。一部、薄被りのような形になる立った壁だ。ガバは見つけたしカムの見当も付けたけど、リードで入れられるかはどうだろう、自信があるとは言えないくらいの感触。乾いていれば行けるかな。
腹拵えも済ませて、そろそろ懸垂下降に入りますか。
14時半過ぎ、懸垂1ピッチ目の下降開始。
懸垂2ピッチ目の下降支点(=登攀4ピッチ目の終了点)までは距離が短いので、ロープ1本で。岩を回り込むのでロープが重い。この先は、ロープ2本で下降。
懸垂2ピッチ目は、ほぼ真下に下降してゆく。登攀4ピッチ目の出だしで大師匠にカムをプリセットしてもらった、小コーナーへ戻る形。
懸垂3ピッチ目の支点(=登攀3ピッチ目の終了点)から先は、登攀ルートを外れてやや右へと下降してゆく。
登攀何ピッチ目だったか、右に下降時に使う支点が見えるから覚えておくように、と大師匠に言われたところ。緑のスリングを覚えていたが、思ったよりずっと下だった。距離の認識が全然ダメだ。
下降時のロープの方向を考えて、壁にあたる方に結び目が来るようにする、の図。
懸垂4ピッチ目は、バンドまで。バンドの先はドーンと崖になっているから、支点を見落とさないように。
懸垂5ピッチ目で基部に戻れそうな気がするけど、極左ルートの取付きよりも低いところに降りるのでロープが足りないのだ。
最終の懸垂6ピッチ目は、腐った残置スリングのかかった立木で。近くに下界が見えているので、安心した気分。
今回は懸垂下降の練習もメインメニューであったので、敢えて大師匠はトップで降りなかった。手際の悪い私達を指導しながらの下降で時間がかかったが、無事に明るい内に降りてこられて良かった、これで万々歳だ!と思いながらもうすぐ着地する荷物デポ地に目を遣ると…
綺麗に端に並べてあった筈の荷物が1部散乱している。降りて良く見ると、手提げ袋が荒らされMちゃんのおにぎりなどがペロッと食べられている…!
猿の仕業だろうが、私が先頭で降りてきたので私が食べたのではない証拠に写真を撮ろう、などと変な思考になってしまった。
蓋を閉めたザックは大丈夫だったのと、食べ物を置いていったのはMちゃんだけだったのもあるかな。まぁ、食べ物以外は無事であったので良しとしよう。支度をして下山にかかる。さっきの青空はどこへやら、完全に雨降りになってしまった。私はカッパを着るのが面倒くさいので、傘をさして。
森を抜けて橋を渡り、トイレも済ませて駐車場へと歩いていく途中でヘッデンになった。懸垂下降をスマートにこなせるようにならなければ、長いルートには行けない。もっと習熟しなければ。
大師匠、今日も長時間ありがとうございました。この後の運転も大変!私よりずっと遠い。道中、お気をつけて。
そして、砂防工事に伴って設置された橋とトイレを使わせていただきました。桐生市の(株)大川建設様、ありがとうございました。
(2024年10月6日実施)