零細音楽家でも珍しく忙しかった芸術の秋。休日をクライミングに全振りした上に、自分の技術ではマトモに登れないルートを無理矢理エイドで登ったりしたのがマズかったか。10月末に体調を崩し生まれて初めての入院・手術、その後もなかなか退院できず何と15日間もベッド生活を送ってしまった。全快ではなく軽快とのことで条件付きでの退院を許され、病院の外へと歩き出すと道行く老若男女全ての人に追い越され愕然とする。無理は禁物なので近所のスーパーへ歩いてゆく位からリハビリを始め、仕事も楽なものから少しずつ再開。以前から楽しみにしていた城ヶ崎での忘年会クライミングには、ビレイ専門でも良いから何とか間に合わせたい一心で慎重に体力回復に努めてきた。
登攀具を詰めたザックを背負って出かけるのは1ヶ月半振りである。平塚駅で大師匠、若師匠、エミコリン、J子さんに再会できた時の嬉しさと言ったら。そして最終的にいがいが根の駐車場で全員集合、なんと総勢16名!
12月に入り、私が登れるような易しいルートが複数あるエリアは混雑が予想される。大師匠の豊富な経験からの判断、そして若師匠とS田氏の登攀力に頼って「なみだち」エリアへ。
広々としてとても気持ちの良いエリア。ただ、冬型の気圧配置で風下にあたる筈なのに、何故か風が強くて寒い。
リードして周辺のルートにもトップロープをセットして下さった若師匠とS田氏、本当にありがとうございます。おかげさまで全部で6ルート、大所帯でも充分に楽しめます。
無理はしないつもりでいるけど、岩場までのアプローチで既に脚力の衰えを感じて気後れしつつ、元気に登るみんなを見ていると密かに焦りも滲んできたりなんかして。そんな私に大師匠が、今回はリードは止めとこうね、と言って下さった。そうだよね、急ぐ必要ない。
平静さを取り戻して、しばらくは見学とビレイをしながら過ごす。そして、この岩場で一番易しい「シンクロックス 5.8」をトップロープで。出だしの簡単な登りで足がヨロヨロ。仕方ない…。核心は、易しくはなかったが練習すればリードできそうな感触。午前中はこれくらいにしておこう、と区切りを付けるために昼食休憩にする。
午後は「ナッツオンリー 5.8」トップロープ。これは足の弱さに泣かされ、核心にしたり顔でぶら下がっているお助けスリングを渋々掴んで終了。悔しいなぁ。
その他に皆さんはトップロープで、壁の左から順に「フックでGo 5.7」、その隣の無名ルート(難しい)、そしてシンクロックスを間に挟んで「アルタミラ迷いルート 5.10d」、ナッツオンリーを間に挟んで「グッドサミング 5.9」。その右隣が有名な「タコ 12a」これは全員、眺めるだけ。
私は結局2本だけにしたけど、城ヶ崎の岩場にいるだけでも(少々寒かったが)気持ちが良いし、ともかくもクライミングに復帰できたので良しとする。
打ち寄せる波に磨かれ見事な球体となった岩を見学した後、スーパーで買い出しをしてから豆東園へ。
クライミングはともかくとして、酒と食の方は、完全に本調子に戻ったようである。
〜翌日へ続く〜
(2024年12月7日実施)