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3/14 マチガ沢で雪訓の予習の下見

2021年3月14日(日)タカマタギ山が中止になったので、翌週に控えている雪訓予習の下見に行ってきました。メンバーはTナ、H野、T柳の3名。朝6時に練馬を出て、ベースプラザを9:20発。

旧道を歩いてマチガ沢へ。

雪崩が心配な個所は、見張りを立てて、一人ずつ速やかに進みます。

マチガ沢出会10:20着。強い風と湿った雪でも平気…です。

耐風姿勢(ちょっと違うような…)。

まずは歩き方(アイゼン無し)。登って、下りて、そしてトラバース。

基本は無雪期の不整地と変わりません。靴底は斜面に対してフラット。膝を伸ばしてまっすぐに立ち、歩幅は小さく、足を意識的に上げ、前に出した膝の下につま先から下ろします。キックステップを併用しても構いませんが、雪が固く、小さなステップに我慢しながら立つようであれば、早めにアイゼンを着けましょう。

ザックも含めた重心を支えるので、多少は前かがみになります。

ザックを下ろして休憩するときには、バケツを掘って、そこに置きましょう。

さらにピッケルを雪面にさして、ショルダーストラップを止めておきます。よほど安定した場所でなければ、立ったまま、周りに注意を払いながら休みます。

さて、滑落停止の練習。まずはアイゼン、ピッケル無しでの基本姿勢。手は雪を抱き込むように雪面に付けます(手で抵抗することで足を下に向ける)。足は膝を伸ばして開き、腰を雪面から離して突っ張ります(靴底の爪先から内側のエッジでブレーキをかける)。

では、仰向けの状態で滑ってから止まってみましょう。

固い雪では、肘を伸ばして、手も雪面に突っ張ったほうが、バランスを取りやすいかもしれません。

止まったからと安心し、すぐに膝をついてはいけません。

しっかりとステップを作ってから立ち上がりましょう。

次に、うつ伏せで頭が下の状態でも行ってみましょう。

足をついて回ろうとすると、かえって上手くいきません。

次にピッケルを使った滑落停止。

アッズ部分がとがっているとケガをしやすいので、テープを巻いておきます。

持ち方は、普段からピックが小指側に出ていたほうが、持ち替えの手間がかかりません。

利き腕でヘッド部分を持ち、反対の手でシャフトのスパイクに近い部分をもち、斜めに構えます。

アッズに胸(鎖骨の下あたり)を押し付け、ピックで雪面を削るようにブレーキを掛けます。練習の場合、アイゼンは着けませんが、基本は膝を曲げ、アイゼンを雪面に付けません(雪が柔らかく、ピッケルの制動だけでは不十分な場合は、その限りではないと思います)。

脇を締めて、渾身の力で引き付けます。

膝をもっと広げないと、横方向に転がってしまいます。

スパイクが雪面に刺さらないように上げ、体のすぐ脇に出します。腹部も雪面から離します(重要)。

うつ伏せ、頭が下の状態では、ピックを前脇について、体を回します。

仰向け、頭が下の状態からは、上体を起こすようにピックを腿の脇に刺し、尻を抜くように回ります。

13時にようやく昼食休憩。

午後はアイゼン・ピッケルワーク。まず、アイゼン装着の前にバケツを掘り、ザックを下ろします。足場も均し、斜面では上部を向いて、片方ずつ確実に装着します。

後ろのコバに掛かっていないことが多いので、よく見ながら着けてください(後で互いに確認)。

余分なストラップは、前で折り返し、外側に出るように巻き付けます。

装着に支障がない程度に切り詰めてしまうとスッキリします。

歩き方は、アイゼン無しとほぼ同じ。踵は拳一つ分ほど開けます。

登る場合、爪先を開き気味になりますが…、

このとき踵の開きを忘れてしまいやすいので気を付けましょう。

下りでは、爪先を平行に向けます。

前に出した足の膝を伸ばし、まっすぐ立てるように練習しましょう。

次にピッケルですが、ホールドとしての積極的な使い方は、アイスクライミングで練習しているので、ここでは主に滑落を止める(滑落しないための)防御的な使い方を練習します。それはバランスを崩したときに、ピッケルをどこに刺して体を支えるかということです。ピッケルを谷側の手で持っているトラバースの場合は、すぐに滑落停止の体制に入れるように身構えています。

登りでは、前に出した足の踵の脇にシャフトを刺せるように構えます。

下りでは、前に出した足の爪先の脇にシャフトを刺せるように構えます(雪面には突かないで、あくまでも構えておくだけ)。

ピッケルを山側の手で持っているトラバースの場合は、腕を自然に伸ばして構えます(ピッケルが長すぎると都合が悪い)。

突然ステップが崩れても、自然とシャフトを良い位置(重心に近い位置)にさせます。

下りで腰の引けている悪い例(ピッケルを突いた位置が重心から離れているので、シャフトを刺そうとしても間に合いません)。

続いては、急な斜面でフロントポイント(前爪)を使った上り下りとトラバース(ピッケルはホールドとしてバランスを保つ補助としても利用します)。

最後は、雪面での支点工作とビレイ。まずは支点となる雪面を踏み固めます。

踏み固めた雪面の奥のほうに、ピッケルでT字の溝を掘ります。横の溝にはデットマン(今回はスノーバー)を埋めます。縦の溝はスノーバーに連結したスリングをガイドします。

スリングをクローブヒッチでスノーバーに巻き付けた例。

横にスノーバー、縦にスリングをセットします。

上から雪をかけて踏み固めます。

雪面に出たスリングの末端にセルフビレイをセットしますが、これは悪い例。スリングがガイドの溝から浮き出てしまい、十分な支持力を得られません。

セルフビレイは、立ったままでは荷重せず、適度に弛ませておきます。

万一、ビレイに失敗した場合のみ、正しいベクトルで引かれるようにセットします。

セルフビレイをセットしたら、次はビレイのための足場を踏み固めます。

腰がらみの場合は深く腰掛けます。

膝を適度に伸ばして踏ん張れるように、よく考えて踏み固めましょう。

雪面の場合、通常の肩がらみ確保は厳しいので、スタンディング・アックス・ビレイも練習しましょう。

ピッケルのシャフトにスリングを掛け、垂直に刺します。スリングの長さは足の幅。

カラビナがギリギリ出ているように土踏まずでスリングを踏みます(このロープの曲がった角度が大事です)。

まっすぐに腰を伸ばして立ち、ロープ軽く握って、できるだけ流すように止めます(ダイナミックビレイ)。いきなりロープを握りしめると、衝撃を吸収できずに失敗します。

16時になったので終了(予定では15時終了)。

帰り道も慎重に…。

16:30ベースプラザ着。

お疲れ様でした。

コメント一覧

マタギを目指して修行中2021年3月28日 09:25 / 返信

強風下での訓練は真剣にならざるを得ず、非常に有意義でした。 トラバース雪上歩行は谷足も山足も斜めになり滑り、滑るたびにヒヤッとします。 安定した歩行するのには経験が必要なのだと運営委員長の歩きを見ていてわかりました。 滑落停止はスピードが出ていない状態での練習なので止まれて当然。 ”滑落しない歩き方をするのが大前提だが、滑ったら何らかの抵抗をしてください”との 教えが心に響きました。 ちなみに今日は一度も転びませんでした!

雨上がりの夜空2021年3月28日 15:00 / 返信

スノーシュー、ワカン、雪訓の予習とで今までの自分は雪山の道具を持ってる飾り人形だと思いました。当日の強風中での耐風姿勢は体が覚え込んだと思いますし(覚えてて欲しいです)、歩き方も膝裏を伸ばす感覚が今までわからなかったのですか、なんとなくつかめたような気がします。次回は、踏み抜いても反対の脚をサッと前に出し、すぐに立ち上がりますよ。下りの遅さは改善困難ですが。

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