6月最後の土曜、夜遅くに雲取林道鮫沢ゲート前で集合。軽く飲んで良い心地で寝ていると、ツェルトの外から声をかけられて目が覚めた。どの支沢に入るのか尋ねられたので寝惚けながら「(ムニャムニャ)桂谷です…」「椹谷ですか」「いや、桂谷です」とかやり取りを済ませて腕時計を見ると3時半過ぎ!寝袋とツェルトに包まれていなければチャリンコに乗っていたという其奴を追いかけて「何時だと思ってんだ、テメエ」と問い詰めたかった、本気で。
其奴のチャリンコは荒沢橋より少し先の林道脇にデポされていた。時間差があるにしても桂谷では会わなかったので、荒沢谷を真っ直ぐ行ったのかな。
入渓して30分ほどで左から桂谷が出合う。
荒沢谷に比べると落ち着いた水量の桂谷に入ると間もなく、左カーブの向こうに6m滝。
滝にかかる倒木は昨年と同じまま。
右壁にホールドは豊富だけど、水流の中は磨かれていて足が滑りそうだった。フォローで怖がっていたのは私くらいのものだが…
登れる滝を2つほど過ぎると、プチゴルジュ。
上の写真でこれから渡ろうとしているところが、いかにも滑りそうで私はとても苦手である。昨年は滑り落ちてしまった(上から確保されていた)。今年こそ、と一歩踏み出してみたけど、腰が引けてダメ。私だけ上から巻いた。
続いて15m斜瀑。
左の壁はツルツルで登れないので、近くまで見物にだけ行く。
写真を撮ったら、手前の脆いルンゼから巻く。距離があるのが分かっていたので、山ちゃんお気に入りの40mをS木さんに引いて行ってもらった。懸垂支点まで一本で届くので手間がないのだ。上部の顕著な巻き道に出る直前の一歩が怖く、フォローでもトラロープ頼り。昨年、木の根を頼ったら見事に抜けた(今回同様、勿論確保されていたのだけれど)痛い想い出が蘇る。
陽当たりの良いところで休憩した後、右岸からの大規模な崩落跡を過ぎて暫く進むと、この沢のハイライトである6段30m滝だ。
5段、6段は滝から離れて右の斜面を巻く。懸垂支点までのトラヴァースが怖く、ロープを張ってもらった。滝の上は標高1,100m二股。右を見ると、垂直の壁を落ちた瀑水が下部で飛沫を上げていた。右股に立ちはだかる美しい障壁である。
我々の進路である左股も滝で、6段滝の巻きの途中から眺めると傾斜がキツそうに見えて不安になったのだが、懸垂して二股まで降りてみると緩やかであったのでホッとした。上から見下ろすと滝が立って見えるんだよな~。以前にも同じようなことがあったことを思い出した。
暫く進んで標高1,180mあたりで傾斜のある滝が出てくる。滝の左右どちらを登るか迷うところ(昨年も迷った)。
左は滑り易いので右を巻き上がった。その後は登れる滝が幾つも続き楽しいところ。
滝らしい滝は上の写真が最後で、後はだんだんガレてきて面白くなくなる。
標高1,440mくらいのところに、沢を塞ぐような巨岩がある。これより先は沢を詰めてもガレと倒木で美しくないのを知っているので、チェーンスパイクを着けて右の尾根へ登り上がる。
後はいつもの如く「疲れた」「足が完全に棒だわ」などと独り言ちつつ主脈を走る登山道を目指して尾根を登る。到達は13時。話し合って、アシ沢を下降するのは止めて尾根で下山することにした。
延々と登山道を歩き、霧藻ヶ峰手前からトラヴァースして下降に使う猿鼻尾根へ。この尾根を真っ直ぐ降りると最後がかなりの急斜面となるのだが、標高1,150mあたりから左に折れて傾斜の緩い南西方向へ下ると、重機幅のジグザグ作業道を利用することが出来た。膝が痛い山ちゃんにはとても優しい道だった。道を見つけてくれたS木さん、I上さんに感謝。
仕事で痛めていた山ちゃんの膝は、遅まきながら整骨院に行ってみたら2,3ヶ月は沢登りなんてダメだよと言われる状態であった。残念。そしてお二人にはご迷惑をかけてしまいました。今シーズンは大人しくして、治ったら、また良かったらご一緒していただけたら嬉しいです。
さすらいのタヌキ2023年7月5日 23:40 /
いつ見てもすごい沢です。山ちゃんさんの膝早く良くなりますように。。